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【特集】関越道バス事故を受けて、国土交通省の対応 (2/3)
高速ツアーバス安全対策を強化
 国土交通省は7月20日から、高速ツアーバスを対象に交替運転者の配置を改正し、実車距離が400 キロを超えた場合か乗務時間が10時間を超えた場合、交替運転者を必要とするように強化した。さらに一定の安全対策を行えば、実車距離を500 キロに延長できる。

 その安全対策は遠隔地によるIT点呼やデジタコによる運行管理、連続運転2時間ごとに20 分以上の休憩、運行直前の休息時間が11 時間以上あることを必須事項として、さらに日本バス協会の安全性評価認定やドライブレコーダーによる運転者指導、運行管理者の24 時間体制などを1つ以上実施することが前提となっている。
 乗務員の運転時間の基準や指針については来年3月を目途に最終取りまとめを目指し審議を進めている。

 審議をしている「高速ツアーバス等の過労運転防止のための検討会」は5月29日から開催され、7月26日には第4回会合が開催された。
 検討会では、70歳未満の運転者に限定することも議論されたが、年齢による制限ではなく事業者の判断に任せるべきとまとまり今回は見送られた。
 国土交通省の中田徹・自動車局長は、今回要件にあげた24時間の運行管理体制について「営業所にいることまで求めていない」と説明し、今回定めた遠隔地での点の手法についても「今後制度化したいというものではない」と述べ今後、検討の余地があると示した。

 また、休憩時間2時間ごとに20分以上、休息時間11 時間以上という指標について厚生労働省の改善基準告示より厳しい数字になっおり厚労省の金子順一・労働基準局長は「国土交通省とも連携して対応していきたい」と国交省が示す基準に対応する方向性を示した。
 ただ、検討会でも指摘されたが距離と時間を変更すれば、事故が減るというものではない。30数個もの違反をしていた事業者が事故を起こした」「なぜ守れなかったのか、どうしたら守れるのかを検証すべき」という根本を議論し、変革の機会になることが期待されている。
 国交省では7月30日に、新高速乗合バス制度について概要を発表した。来年の7月からの制度実施に向け厳格な制度設計が期待されている。

貸切バス安全運行等に関する意見交換会
 関越道バス事故後はじめての開催となった貸切バス事業者と旅行業者との意見交換会(貸切バス安全運行等に関する意見交換会)で、両者から最低運賃の設定や、旅行業者から安全にかかるコストを知りたいとの意見があるなど前回よりも発言も多く、両者とも事故を受けて現状を見直していきたいといった強い意識が感じられた。
 意見交換が行われたのは6月14日、近畿運輸局。参加者は(一社)日本旅行業協会関西事務局、(株)JTB 日本国内商品事業部、(株)日本旅行西日本営業本部、近畿日本ツーリスト(株)、(株)読売旅行、(社)全国旅行業協会大阪府支部、(株)高槻旅行サービス、(株)オレンジ観光、明星自動車(株)、神姫バス(株)、阪急観光バス(株)、奈良観光バス(株)、滋賀観光バス(株)、龍神自動車(株)、近畿地区のバス協会、近畿運輸局企画観光部と自動車交通部。
 この意見交換会は平成20年9月に設立し、今回で第11 回目となる。これまでに共同で、貸切バスの利用にあったてのパンフレットの作成などを行ってきた。次回開催は重点監査結果を踏まえての開催を予定している。