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【特集】オートリブ、フランスのEVカーシェアリング
LIGAREでは、パリで始まった電気自動車のOne Way(乗り捨て)を実現したシャアリングであるオートリブを現地取材と、オートリブを運営しているボロレ社への単独取材を行いました。パリ市はどのような考え方で電気自動車のみで行うカーシェアリングを始めたのだろうか。それはパリ市長Bertrand D elanoë(ベルトラン・ドゥラノ)氏のオートリブ開始にあたっての挨拶から読み取れる。

パリ市長はオートリブの意義を次のように説明している。
「オートリブは2008 年のパリ市民との公約であるだけではなく、世界に先駆けてEVを使ったセルフサービスのレンタルプロジェクトで、街と自動車の新たな関係を示しました。真新しく、環境に優しいモビリティーであるオートリブは、全ての自動車ユーザーとその家族にサービスを提供する公共交通機関です。オートリブはまた、大都市圏の交通網と密接に結びついています。モダンシティ(Modern city)においては、市民が移動したい所へ自由に移動出来るよう、ニーズや状況に応じて、移動方法の選択肢を増やしていく義務があります。“ 移動の自由” を提供することにより、新しい都市生活への道を開きます。」フランスの首都圏で実施すると言うことは、東京23 区で実施している感覚に近い。そう考えると私たち日本人にもフランス国内に与えた衝撃の大きさが想像し易いはずだ。また、この試みを見ていると「自動車の使用方法が大きな転換期を迎えた」ことを示唆しているように思える。パリ市長は「ニーズや状況に応じた移動方法の選択肢を増やすことが、“Modern city” の義務だ」と主張する。これからの日本でも、ソフト(人やサービス)とハード(移動手段)を上手くつなぎ合わせ、いかに便利にするか?が問われるはずだ。オートリブの広報用資料に目を通すと、まさにパリ市主導施策であることが分かる。パリ市長Bertrand D elanoë(ベルトラン・ドゥラノ)氏の挨拶で始まり、パリ市長の補佐でありautolib’syndicate(オートリブ合同協会)の所長でもあるAnnik Lepetit 氏、運営会社Bolloré(ボロレ)グループの代表VincentBolloré 氏の言葉と続く。
このことからも、パリ市がオートリブを、バスや電車と同じ“ 公共交通機関” と捉えていることがわかる。これは、公共交通機関の分野における新しい考え方だ。
もうひとつ注目すべき側面は、オートリブが“ 雇用創出” を目的としている点。日本で主流となっているカーシェアリングシステムは、公共事業としての位置づけではないため、効率や採算性を重視する。
莫大な設備投資に対し、いかに効率を上げられるか?が事業の明暗を分ける。従って、人件費の削減は大きな課題となる。
一方、オートリブでは、1, 000 人以上のスタッフ( 彼らを“ambassador: 大使” と呼ぶ)を雇用する予定で、すでに昨年1 月5 日の時点で、300 人をパリ地域から採用している。
今回、オートリブの導入のコンセプトや利用法、運営の方向性などについてまとめた、特集号を創刊しました。


別冊LIGARE(リガーレ)の目次
P02 One Wayを実現したオートリブの実情に迫る
   日本での実現性へのアプローチは?

P04 オートリブは公共事業的な位置づけ、新しい公共交通機関。

P05 「Modern cityの公共交通」

P06 雇用創出をねらう事業

P07 オートリブの経費と運営費用は?

P08 パリの交通事情は?

P13 使い勝手を重視したオートリブの利用法

P28 Autolib’を運営するBollore’への単独インタビュー

P41 日本版オートリブ実現なるか!?