自動車ニュース
トヨタ、燃料電池の触媒「白金」をリアルタイムで観察可能に (2/3)
今回の研究に取り組んだ経緯

FCは、気体の水素を燃料として空気中の酸素との化学反応により発電する発電機です。発電は、セル内の水素極と空気極の二つの電極における化学反応によって生じ、この際に水が発生します。

水素極では、水素分子を電子と水素イオンに分離するが、この化学反応の際に電子を取り出す働きをするのが「白金」であり、これが触媒としての役割です。こうして電子を取り出すことが発電であり、モーターを動かす。水素極で取り出された水素イオンと発電してモーターを動かした電子は、空気極に移動し、空気中の酸素と化学反応して水が生成されます。ここでも「白金」が触媒として、水素イオンと酸素の化学反応を促進する働きをします。なお、電極における「白金」は、数nmの微粒子です。

このように「白金」は、FCの発電のために不可欠であり、セル内の二つの電極において、FCの発電効率を高める上で重要な役割を担っています。

しかし、「白金」は、希少資源であるため高価であるとともに、発電に伴い「白金微粒子」が粗大化し、性能が低下すると言われています。触媒としての性能を維持するためには、「白金微粒子」が粗大化するメカニズムを解明する必要があるが、これまでの観察手法では、数nmレベルの「白金微粒子」がセル内で実際に作動している状態で確認できない、という技術的な課題がありました。