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交通事故被害者等支援フォーラム
近畿運輸局(天谷直昭局長)は、鉄道、バス事業等の公共交通事業者による被害者等支援計画の策定を一層進める必要があるとして9月11日、大阪市中央区の大阪歴史博物館で「公共交通事故被害者等支援フォーラム」〜公共交通機関利用の安全のために〜を開催した。

主催者挨拶で阿部竜矢・近運局交通政策部長は「公共交通機関は安全、安心であって被害者支援が生じないのが理想であるが、現実は悲惨な事故が発生している。万が一の被害者支援のあり方も事業者にとっては大きな責務である。今回のフォーラムは被害者、学識経験者、行政から関係者を招いて開いた。参加事業者の安全性、信頼性が高まることを祈念します」と述べた。

講演は下村誠治・鉄道安全推進会議会長が「被害者の立場から望むこと」と題して、明石歩道橋事故で当時2歳11ヶ月の次男が犠牲となり夫婦とも負傷した被害者として事故直後から現在までの心境を述べて被害者支援の取り組みを求めた。

奈良和美・国交省総合政策局安心生活政策課公共交通事故被害者支援室企画官は、「公共交通事故被害者支援の現状」と題して講演、平成24年4月に支援室を設置、その機能、体制、業務内容、事故発生時と中期的対応、平時における対応等について述べるとともに、義務ではないが公共交通に関わる事業者の支援計画の策定促進を強く訴えた。

最後に岩切昌宏・大阪教育大学准教授は「被害者の心理を理解する」と題して被害の意味について、トラウマ反応、悲嘆反応など専門的な立場から被害者の心理について述べて、日常生活の大変さの理解、人の言動に傷つきやすい状態を指摘して、理解に向けて、2つの時間―動いている時計と止まった時計、最終的には実在的な問題に直面するとして、時間をかけても元に戻らないが、時間をかけて埋めていくのを見守る姿勢が必要とした。