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地方創生でバスの役割再確認 第34回事業大会
近畿バス団体協議会(塩川耕士会長)は11月24日、大阪市北区の中央電気倶楽部で第34回事業大会を開催、バス事業が都市づくり、地域づくりの中で公共交通機関として役割を果たすため、関連予算の大幅確保・拡充、貸切バスの参入規制の厳格化と参入後の厳正な監査の実施など8項目の要望と安全・安心が全てに最優先するとの安全運行を誓う大会決議を全会一致で採択した。大会は議長に長尾真・兵庫県バス協会長を選出して進行、冒頭挨拶で塩川会長は「景気回復は道半ばです。軽油価格の下落でホッとしているところです。路線バスは交通基本法、同計画法による自治体を中心としたネットワークを確保、地域公共交通、地方創生に向けバス事業を国、自治体に積極的にアピールしたいです。貸切の新運賃制度を遵守して、旅行業者への理解に努め、我々がイニシアチブを持って堅持、また当局にも制度の徹底をお願いしたいです」と要望した。
 
来賓祝辞で天谷直昭・近畿運輸局長は「ゆるやかな景気回復と聞くがパッと青空が見えません。しかし上向いていると明るい話も久しぶりに聞きます。バス事業は大きな転換期にあります。地域公共機関として、地域と共に新たな役割を担うものと思います。インバウンド(訪日外国人旅行)で貸切の位置付けは大きく、地域の発展を支える時期です。一方バスの基本は安全・安心の確保です」と事故防止ももとめた。

松井一郎・大阪府知事のコメント代読、大阪府警本部の小澤隆文交通部長の祝辞に続き、上杉雅彦・日本バス協会会長は、最近の業界事情について「乗合いバスの全国収支率は95.2%、京阪神ブロックは100.1%と黒字、しかし、北・南近畿地区は89.8%と地方バスは厳しいです。活性化関連で地域公共交通網形成計画は59地域で活動、全国で144地域が検討中で、近畿でも11地域が名乗りを上げています。どうか成功事例を作って頂きたいです。貸切バスは、日車単価は26年度全国平均106%、近畿地区も104%の大幅な収支改善にあります。前回の轍を踏まぬよう努めたいです。バス再生には補助金、税制優遇が不可欠で、さらに乗務員不足問題、新高速バス規制の見直し、自家用ライドシアー問題など看過できない問題も多く、日バス協として関係機関に働きかけて参りたいです。最後に各地方運輸局の改編で、交通政策部、観光部が新設しました。国との直接のパイプが出来ました。どうか出向いて積極的なアプローチをしてください」と挨拶した。

講演は金指和彦・近畿運輸局自動車交通部長が「今後のバスを考える」と題して、地域交通とバスでは、地域事情に応じた輸送サービスの展開、自治体とタッグを組む重要性のほか、財政状況等からデータに基づく認識の共有も必要とした。インバウンドとバスの役割では、事業者一人では無理で、関係機関との連携、「不便」より「不安」の利用者要望の解消、十分な情報提供を訴えた。そしてバスそのものを観光資源と打ち出す手もあるとした。バスの人材確保では、あるデータを示しつつ、他産業には30代で3割、40代で4割の大型免許所持者がいて、人材はある。バスの魅力の発信、産業全体での取り組み、従業員への誇りの醸成等の課題についても述べた。

今回の大会では、特別企画として2府4県から貸切バスガイドさんによる「お国自慢、会社自慢」が行われた。出席者はひととき、観光バスの乗客気分で名調子な案内に耳を傾け、出場者に万雷の拍手を送った。