自動車ニュース
兵庫県警察本部交通部長 松元美智久氏 安全安心快適な交通社会
自動車関係業界の皆様方におかれましては、平素より、交通安全対策をは じめ警察行政の各般にわたりまして格別の御支援、御協力を賜っておりますことに厚くお礼を申し上げます。

さて、兵庫県内の交通情勢につきましては、本年8月末現在で、人身事故件数、負傷者数共に減少する一方、死者数は97人、前年同期比プラス6人(速報数)と増加傾向で推移し、依然としてご高齢の方が全死者の半数以上を占めている状況にあります。

その他の特徴としましてシートベルトの問題があり、自動車乗車中に亡くなられた32人中14人の方がシートベルトを着用されておらず、そのうち11人については、交通事故の状況や車両の損傷状況から「シートベルトを着用していれば死亡には至らなかった」と推測されます。

また、飲酒運転による交通事故の発生状況を見てみますと、本年7月末現在で、全国ワースト3位となる111件が発生しており、飲酒運転根絶は道半ばと言わざるを得ない厳しい状況にあります。

他方、高齢運転者に目を向けてみますと、全国各地で高齢運転者による悲惨な交通事故が大きく報道されており、本県においても高齢運転者による高速道路の逆走やブレーキ操作の誤りによる交通死亡事故が発生しております。

本年6月には、高齢運転者対策の一環として開催されていた「高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議」において、改正道路交通法の確実な施行や運転免許の自主返納の促進等のほか、先進安全技術を搭載した安全運転サポート車の普及促進等の提言がなされました。

これを受け、県警察におきましても高齢運転者の更新時講習等の受講待ち日数の短縮に向けた取組や、運転に不安を覚える高齢運転者の運転免許の自主返納を促す「高齢者運転免許自主返納サポト協議会」の更なる拡充を関係機関・団体に働き掛けるとともに、自動ブレーキやペダル踏み間違い時加・速抑制装置を搭載した「安全運転サポート車」を用いた参加体験•実践型の交通安全教育を実施するなど、高齢運転者の交通事故防止に向けた取組を推進しているところです。

このような交通情勢の中、 秋の全国交通安全運動が9月21日から30日までの10日間実施されます。

本運動では、

◯ 子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止
◯ 夕暮れ時と夜間の歩行中・自転車乗用中の交通事故防止
◯ 全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
◯ 飲酒運転の根絶

を運動の重点としており、その周知を図るため、関係機関・団体と一体となった活動を積極的に展開していまいります。

特に、高齢歩行者による交通事故を未然に防止するため、横断歩道等を疑似体験できる歩行者教育システムを活用した交通安全教室の開催のほか、高齢者宅への個別訪問を通じて、無理な横断の禁止や反射材の着装など、きめ細かな交通安全教育を推進してまいります。

また、交通事故の際の被害リスクを軽減させるための全席シートベルトの着用とチャイルドシートの正しい着用の徹底や飲酒運転を許さない社会環境づくりをさらに推進すべく、歓楽街等を重点とした取締りを強化するとともに、ハンドルキ―パー運動等の広報啓発活動を積極的に推進いたします。

例年、秋から年末にかけては夕方の交通が輻鞍する時間帯と日没時間が重なるため、いわゆる薄暮時の交通事故が増加する傾向にあります。

どうか皆様方におかれましても、早めのライト点灯(点灯推奨時間4月〜9月は午後5時、10月〜3月は午後4時)やハイビームの効果的活用により、悲惨な交通事故の未然防止に努めていただきますとともに、各地で開催され ます交通安全キャンペーン等への積極的な参加など、なお一層の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。