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年頭所感─一般社団法人兵庫県タクシー協会 会長 吉川紀興 (3/3)
次に、タクシー運賃の改定についてですが、運賃改定への取組みはタクシー活性化方策の一環ですが、以前、運賃組替え方式によるシミュレーションを実施しましたが、減収率が大きいことが判明したため、現在、初乗距離短縮を含めた本格運賃改定の検討を行っており、昨年11月から12月にかけて、神戸・阪神間の会員事業者に対し運賃改定についての考え方や意向を把握するため、「運賃改定におけるアンケート」を実施しました。回収率は、協会史上初の100%を達成しました。今後はこのアンケート結果を分析し、どのような運賃が神戸・阪神間に適しているか、距離短縮も含め検討し、31年10月の消費税改定に合わせた運賃改定を目指します。

次に、白タクの問題です。現在東京、大阪の空港等を中心に拡大している中国式白タク行為は、法違反をかくすため、訪日観光客が日本に訪れる前に中国で運賃の精算を済ませてやってきます。従って、証拠に繋がる日本国内での運賃収受は一切ないという実に巧みな手口で中国からの観光客を呼び込んでいます。兵庫県内では中国式白タク行為は今のところ見かけませんが、いつ来ても不思議ではありませ。県下では、姫路、淡路島を中心に運転代行事業者による白タク行為がはびこっております。これらはタクシー事業者にとってはより深刻な問題となっており喫緊の取組課題と考えております。

次に、タクシー乗務員のお客さまサービスと接客マナーの向上の取り組みについては、平成19年から毎年「タクシー乗務員接客コンテスト」を実施し社会的に大きな評価を受けているところですが、本年におきましても本コンテストを実施し、兵庫県におけるタクシー乗務員のお客さまサービス・接客マナー向上の大きな力になるように、さらに取り組みを強めてまいります。お客さまからの様々なご意見・要望に耳を傾けて取り組んで参ります。

また、当協会は、タクシーが地域の交通機関として、健常者のみならず高齢者や障がい者の皆様のニーズに応えるために、平成24年から「ユニバーサルドライバー研修」を実施しています。昨年からトヨタのジャパンタクシー(UDタクシー)が発売され、まさに健常者のみならず高齢者や障がい者の皆様に優しい車として今後2020年のオリ・パラリンピックまで相当数の導入が期待されております。従って、このUD車両のドライバーも安全運転の確保はもちろんですが、より迅速な車いすの固定等も必要となります。また、お客様に対するコミュニケーション力を身につけることも重要であります。これらのあらゆるお客さまのニーズに応えるため、今後とも研修内容の充実を図るとともに、兵庫県下全地域において実施して参ります。

次に、全国的に注目されている淡路島地区タクシー事業者限定のウーバーアプリの導入についてでありますが、本件につきましては、10月6日現地説明会で明らかにされました。元々淡路県民局が主体となり、淡路島の観光振興に合わせた訪日外国人の受け入れ対策を充実させるためウーバーアプリを使ったタクシー配車の導入を目指した実証実験(約6ヶ月〜1年間実施予定)をウーバージャパン(株)に持ちかけたものである。ウーバー社からの説明によると、今回の実証実験計画は、あくまでも淡路島内での輸送に限り、地元タクシー事業者限定の実験を行うということです。
これを踏まえた今後の当協会の対応としては、本件が今後のタクシー事業の活性化に繋がり、事業の発展に資するものであればこれを拒む特段の理由はないことから、淡路島事業者の意向をくみ、その後の経過を注意深く見届けることにしています。また、ウーバー社との対応については、慎重に進めていくよう県民局に対し要望しているところです。

年々輸送需要が減少する状況の中で、お客さまの様々なニーズに対応するための取り組みが重要になっていますが、引き続き兵庫県下それぞれの地域において地域の皆様の声をお聴きして各支部とともに事業活動の展開を行ってまいりたいと考えております。
最後に、会員各位の益々のご健勝と事業のご発展をご祈念申し上げますとともに、関係各位の深いご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げまして、年頭にあたってのご挨拶と致します。