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【特集】篠山で観光型MaaS−電脳交通代表取締役インタビュー (1/2)
いわゆる観光型MaaS(Mobility as a Service)につながる取り組みが兵庫でも始まった。鉄道会社と地元のタクシー事業者が連携し、観光客向けに定額でタクシーの乗り放題サービスを提供する。既存の交通事業者を上手くつなぐことで、人の新たな移動を生むという革新的な交通サービスだ。タクシーの配車方法は配車アプリやAIを使うのではなく、人が介在している。配車率100%を掲げる配車サービスの裏側には、タクシー会社から生まれたベンチャー企業・電脳交通の地元タクシー業者に寄り添った想いがあった。

JR西日本と株式会社電脳交通(以下、電脳交通)が兵庫県篠山地区で3月9日から17日にかけて実証実験を行った。自家用車を使用しなければ周遊しづらかった観光地に、鉄道とタクシーが連携した新しい移動手段を提供することで、周遊観光の発展を目指す。篠山エリアへの旅行者を対象に、パスポートとしてタクシー乗り放題利用券を5,000円/組(消費税込、1日5組限定)の定額で販売(受取は篠山口駅)。購入者は10時から19時の間であれば、篠山口駅と篠山市内の指定観光施設相互間を何度でも日本交通株式会社(以下、日本交通)のタクシーで移動できる。配車は、パスポートに記載のQRコードからwebサイトにアクセスし、行き先や配車時間を入力するという方法だ。
篠山で鉄道会社とタクシーが連携した実証実験をすることになった背景、今後の展開について、電脳交通の近藤洋祐代表取締役に話を伺った。

■既存の事業者でつくる新しい交通サービス

――篠山で実証実験を行うことになった背景について教えてください。

昨年12月にJR西日本イノベーションズから出資を頂いて、新しい交通モデルを実証していこうとなったときに、篠山という小さなまちで実証実験をすることになりました。丹波篠山で営業するタクシー会社は2社あります。1社は個人事業で、もう1社は日本交通(大阪)の篠山営業所です。現状は、通常運営のタクシー、デマンド、行政と組むなど、いろいろなタクシーを運行させながら1時間に1本しか走っていない路線バスの利便性の低さを補っている状況でした。バスと鉄道と2次交通の接続性を見直して、今までになかった料金体系でサービスを作り込んでいこうということでプロジェクトが始まりました。