自動車ニュース
成熟した社会の交通手段―富山・新型LRT
 2011年度の予算概算要求のうち「特別枠」に対する「政策コンテスト」の評価会議が11月初旬に開かれ、国土交通省が要求している「地域公共交通確保維持改善事業(453億円)の公開ヒアリングが実施された。
 
 交通基本法の制定に向けては国交省が検討小委員会を設置。交通政策に力を注いでいる富山市(全国の自治体からの視察が相次いでいる)の森雅志市長が委員に加わるなどし、関係者から熱い視線が注がれている。その取り組みを取材した。
 
 赤や白、紫など色鮮やかな車体がホームに入ってくる。富山ライトレールが運行するLRT(次世代型路面電車・愛称ポートラム)だ。
 
 赤字路線のJR富山港線を引き受け、2006年4月から運行を開始(総事業費58億円)。現在は第三セクターの富山ライトレールが運営し、管理は市が行う(年間数千万円を市が負担)公設民営の形を取っていることが大きな特徴だ(駅に接続するフィーダーバスを運行し、地域住民の利便性の向上に努めている)。
 
 市は14年の北陸新幹線開業により富山駅が高架化されることも念頭に駅南側の路面電車との接続を視野に入れLRTの導入を決めた。
 
 富山市の谷口博司路面電車推進室長は「自動車だけではなく、バスや電車が連携して街作りを進めて行く必要があり、赤字採算ベースだけで判断する問題ではない」と意気込みを話す。
 
 ・ひとこと
 富山市のように公共交通機関を一種の道具として考え、明確なビジョンを持った都市政策を進めている事例は参考になる。公共交通を利用する人々の視点に立って考えることが大切だ。