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【年頭所感】兵庫県タクシー事業協同組合 理事長 南 和雄 (1/2)
「混沌とした時代にこそチャンス お客さまへのサービスがタクシー業界の根幹」

 新年あけましておめでとうございます。平成23年の新春を迎えるにあたり、ご挨拶を申し上げます。

 昨年は、エコカー、エコポントなどの政策効果、新興国の成長よる輸出の回復などから、年前半は景気がゆるやかに回復しましたが、後半は政策効果の剥落、円高進行により、幾分回復テンポが緩やかになりました。とくに欧米経済に不透明感が強まり、世界経済も極めて混沌とした年となり、予断を許さない情勢にあります。我が国をはじめ、米国、英国でも政権が安定せず、また、中国等との政治的な問題も大きく浮上し、景気、為替、株価などまったく方向感が定まらない状況が続いています。

 そして、今、世界はグローバル化、新興国の台頭による環境、食糧、資源等の問題が大きくなり、世界の仕組みそのものが大きな変化を遂げようとしている転換期といえましょう。従って、今年も大きく激動する公算が極めて強い年といえましょう。

 国内に目を転じても、雇用情勢は依然厳しく、所得の改善もほとんど見られないまま推移し、今年も景気はそれほど改善しないとみるのが妥当でしょう。

 その中でタクシー業界は規制が強化されつつあります。2002年以降“自由化”を標榜した行政の取り組みにより、タクシー需要が落ち込む中で規制緩和が行なわれたため、タクシー需給はだぶつき、結局、1台当りの売上は大幅に減少しました。タクシーの最盛期の輸送人員は40億人を超えていましたが、現在では21億人まで半減しています。利用客が半分に減少しているのに対し、車両は規制緩和以降、5万台も増加していたのです。

 法人、個人共に需要が落ち込み水揚げの低迷が続いています、唯一、中国・アジアからの観光客増に伴い、タクシー乗車客がやや増えていることが明るい材料であるといえます。