自動車ニュース
【年頭所感】(財)兵庫県交通安全協会 会長  瀧 川 博 (1/2)
 新年あけましておめでとうございます。

 皆様方におかれましては、ご家族とともに平成23年の輝かしい新春を健やかにお迎えのことと心からお慶び申しあげます。

 平素は、各地域や職場などにおいて交通安全活動に多大なるご尽力をいただいておりますことに心から敬意を表しますとともに、交通安全協会の運営や事業活動の各般にわたり深いご理解とご支援を賜り、厚くお礼を申しあげます。

 さて、全国の交通事故の発生状況は、件数、負傷者数が過去最悪であった平成16年をピークに、件数、負傷者数、死者数ともに年々減少しており、昨年も同様の傾向にありました。

 死者数でみますと、平成21年は4,914人で、統計をとり始めた昭和27年以降、57年ぶりに4千人台となり、過去最高であった昭和45年の16,765人と比較して1/3以下となっております。

 しかしながら、高齢者の死者は、平成21年は2,452人(全事故死者に占める構成比49.9%)で、平成16年の3,046人(同41.4%)と比較すると、絶対数では減少しているものの、構成比では年々増加しており、平成21年には全死者数のほぼ半数を占めております。

 今世紀の半ばには5人に2人は高齢者という社会が到来すると予想されており、また、事故死者の減少数が年々低下している状況を考えますと、このまま推移すれば高齢者の死者数が増加することにより、減少を続けてきた死者数の総数が増加に転ずる事態を招くことも否定できません。

 一方、県下の交通事故の発生状況は、平成21年までは件数、負傷者数、死者数ともに全国とほぼ同様に減少しており、高齢者の死者数に占める割合も平成16年は38.6%でありましたが、昨年はほぼ50%を占めるまでになっております。

 昨年は、特に、高齢者や高速道路における死者数が増加し、死亡事故全体の件数を目立って押し上げる結果となりました。

また、ここ数年、減少傾向にありました飲酒事故も増加に転じ、飲酒運転による悲惨な事故はあとを絶たない情勢にあります。

 このような情勢のなか、皆様方におかれましては、関係機関や各種団体などと一体となって、「安全で安心して暮らせる交通事故のない兵庫」を目指して各種広報・啓発活動など様々な活動に取り組んでいただいておりますが、いまなお数多くの方々の尊い生命が失われている現実をみますと、情勢の厳しさは依然変わりなく、更なる努力が必要であると痛感しております。

 新年を迎え、当協会といたしましては、昨年の交通事故の発生実態を踏まえ、兵庫県、兵庫県警察のご指導をいただきながら、高齢者を対象に、交通ルールの再認識や交通マナーを実践していただくための参加・体験・実践型の交通安全教室等を開催してまいります。

 また、自転車事故を防止するため、高齢者や子どもを対象とした自転車安全教室の開催や、飲酒事故を根絶するための「ハンドルキーパー運動」等を推進するなど、積極的な交通事故抑止対策にも取り組んでまいります。