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【特集】廃止に衝撃走る―存続の危機、神鉄栗生線(1)
 膨大な赤字を抱える神戸電鉄栗生線(鈴蘭台―粟生間)が存続か否かの瀬戸際に立っている。
 
 8年間に及ぶ赤字の累計額は約10億円。一昨年11月の事業仕分けの結果、「存続は各自治体の判断に任せる」という考えが示されたことに加え、昨年6月に国交省が「廃止」の方針を打ち出したことは神戸鉄道や地元自治体関係者を震憾させた。
 
 危機感を抱いた神戸電鉄や地元自治体(神戸、三木、小野の3市)、住民が一昨年12月に設置した「神戸電鉄栗生線活性化協議会」は利用促進策などを検討しているが、対応も限界。公費投入しか打開策はないという声も漏れ聞こえている。
 
 栗生線が抱える大きな問題はレールの維持修繕が不可欠で多額の修繕費用が必要となっていることにある。同線は路線が山間部を通る為、急勾配や曲線区間が多く高速運転ができないという事情がある為、修繕費がかかり、安全面を徹底する観点からも高い運賃を設定せざるを得ない。 
 
 神鉄は利用促進策として、沿線ハイキングなどのイベントを実施しているが、直接的には鉄道の利用に繋がっていないのが現状だ。
 
 利用状況の面では特に県立高校5校の学生約2千人が乗車する通学時間帯を除く昼間の時間帯の乗客の落ち込みが大きく、全体では平成22年4〜9月の利用者数は対前年比で2.7%減少し、回復の兆しはない。
 
 同線が仮に廃止された場合、気になるのは通学に利用している学生たちの交通手段をどうするかだ。地元のバス事業者(神姫バス)が代替交通手段としての役目を果たすことも解決策として考えられるが、事業者が厳しい経営を強いられている現況で可能性は低いのではという懸念が示されている。(続く)