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公共交通の在り方を考える―近運局 セミナー開催 (2/2)
 
 浪越交通企画課長は「全国的に地域の生活交通は崩壊状態にあり、国が対応することが求められている。生活交通の存続危機地域には1千万人を超える高齢者が居住しており、外出機会が奪われている」と警鐘を鳴らした。その上で「国交省は生活交通サバイバル戦略で予算規模が305億円と前年と比べ倍増した。支援にあたっては標準的な事業費等を前提とした事前算定方式に変更し、より効果・効率的な支援を実施していきたい」と述べ、これまで実施されていた運行(航)欠損額の事後的な補填方式から地域住民の合意形成の下に計画的に実施される事業に対して、事前算定方式へと支援方法を変更される点について解説した。

 続いて、加藤准教授は「作り」「守り」「育てる」方法をテーマに講演し、「地域公共交通会議方式の弱点は道路運送法の問題もあり、バスやタクシーしか協議対象にならないところにある。これでも、大半のことはできるが、鉄道、航路再生やそれらとのバスとの連携には法的に無力。また、公共交通計画・戦略の策定が任意で場当たり的な開催になることも懸念される」と持論を述べた。

 その後、加藤准教授をコ−ディーネーター、大路健志京都市歩くまち京都推進担当課長、谷口雄彦豊岡市交通政策係長、礒野省吾和歌山電鐵専務、浪越課長をパネリストに選び「交通基本法と今後の地域公共交通のあり方」をテーマにパネルディスカッションを行い、過疎地での公共交通の在り方など具体例を交え、それぞれ意見を述べた。