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東日本大震災で修学旅行などキャンセル相次ぎ、貸切バス大打撃 (1/2)
  東日本大震災の被災者の集団避難の輸送手段として貸切バスの活躍ぶりが連日、報道各社で取り上げられている。しかし、貸切バスは一見華やかそうに見える反面、事業運営の実情は複雑だ。東日本大震災の影響は西日本の貸切バス事業者にまで及んでおり、京都府に於いては3月、4月の受注済分の修学旅行団体や宗教団体(法然・親鸞上人の御遠忌法要)をはじめ一般ツアー団体に加え、外国人団体の予約が軒並みキャンセルになるなど、バス協会加盟会社での3月末までのキャンセル額は4億円を上回る(福島原発の放射能もれ事故により、外国人団体は皆無の状況になっている)。2年前の新型インフルエンザの大流行から売り上げが戻っていないことや高速道路料金の無料化への流れで利用者が激減していることなどの影響も重なり、大打撃を受けている。


  学校の社会見学や修学旅行、高校野球開催時の甲子園球場までの輸送や国体など競技会への輸送、会社の慰安旅行などで使用される貸切バスは、市内を巡回する路線バスと違い、規制緩和に端を発する運賃収受、ガイド料金、貸切バスのタクシー化(原則3時間からの時間制の算出方法と100キロ、300キロといった設定の距離制算出方法があり運賃の上限・下限を定めて各運輸局に届出ることになっている)、旅行業者との間で発生している不平等の積み重ね、また、利用者が貸切バスと接する頻度が低いことや観光目的に使用されるの貸切バス事業の運営面などへの興味も希薄で、社会問題として取り上げられにくい。


  西日本エリア(近畿・中国・四国・九州)のバス協会に加盟する貸切バス事業関係者35名は、3月2日メルパルク大阪で田村充啓・近畿運輸局旅客一課長、大阪府バス協会の戎順正専務理事を来賓に招いて第2回「西日本エリア貸切バス事業のあり方についての検討会」を開催した。運賃収受への協力が旅行業者から得られず、事業運営が難しくなってきており、一社の独自の取組みだけでは現状打破が難しいためだ。集まった事業者らは4時間にわたり活発な意見交換を行った。このような意見交換会は類を見ない。
  

  昨年9月に意見交換会の第1回目が行われた。その呼びかけ人の1人で、京都バス協会の貸切バス委員長、日本バス協会の貸切バス委員会の副委員長の明星自動車(株)谷口守弘社長に、開催のきっかけなどを伺った。