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濁流が町を一気に、水害被害振り返る―小林義昭さん・佐用町 (2/2)
 ―東日本大震災で津波により大きな被害を受けた岩手県の田老地区では過去に津波の被害を受け、その教訓を刻んだ石碑があったそうですが、佐用町でも水害に対する言い伝えなどはあったのでしょうか?
 あるみたいだったんでしょうが、それも一世代前、亡くなった曾おじいさん、曾おばあさんの代でわたしの父親からは言い伝えを直接、聞いたことはないですね。とにかく、この街は水に浸かると。昭和10年に出来た商店街の地域も昔から水に浸かるという認識が町民にあったのでしょう。だから、佐用駅は高い位置にあるんですよね。佐用は元々、水害の多い地域で昭和30年以降、10年に一回、平成に入ってからは5年の間隔で川が氾濫する水害が発生しています。今は過去の水害被害を受け、佐用町がモニターカメラを十数台設置し、川を監視しているようです。
 
 ―話しは変わりますが、佐用町の地域性や住民気質はどういったものでしょうか。
 佐用町の地域性として感じるのはどこか冷めた都会的な部分があるということ。ことばで言うのも難しいんですが、隣の山崎とは山と川を隔てると住民の意識もどことなく違うと昔から、言われています。最近は企業が進出し、団地も増えたので、核家族も増えたと聞きます。佐用は中国道や鳥取道、それにJR姫神線や智頭急行などの鉄道もある、交通の要衝で移動手段に恵まれています。移動しやすい条件を備えている町ということが住民の気質にも影響しているのかもしれませんね。

 水害被害の際も自衛隊やボランティアの人が救援にきた時に一部の住民の中にはあれもこれもと要求の多い方もいたように感じました。それと、佐用は人口の割に例えば町長選挙の際の投票率が70%台と、同じくらいの人口規模の他の町の投票率と比べるとやや低いような気がします。やっぱり、地域住民がもっと街のことに興味を持って、選挙の際も積極的に投票して町と関わりをもっていこうとしないと、街はよくならないのかもしれませんよ。それと、町と住民が官民一体で協力して防災の備えもしておかないと。