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規制緩和の見直しとは―兵ト協福永征秀氏に聞く (2/2)
 トラック業界は生計を立てるための“生業”であり、“企業”になりきれていな所が大半だ。皆、有事の民主主義を知らないのではないか。有事の時でも平時(景気の良い時など)同様の民主主義を主張する。有事の時は平時を抑え、有事が過ぎ去った時に、ばっと動く。欧州諸国はそれが出来るが、日本は出来ていないと感じる。国も同様で国策がない。目の前のものをこなす生業のようなものになってはいないか。
 『物流における本来の規制緩和とは何か』をわれわれは今一度考える必要がある。人をこき使い、車を回転させるような物流効率化は“荷主のための規制緩和”でしかない。日本はアメリカから押し込まれ自由の感覚を受けすぎた。本来の規制緩和は法律の合理化から自由競争の活発化となり、コスト削減につながるものでなければならなかったはずだ。路線と一般区域に分かれていたトラック事業を一本化し営業の自由度を高めたことは良かったが、物流効率化の名のもとコストの抑制・引き下げへとつながってしまった。
 本来の規制緩和とは取扱事業を一本化し複合輸送に対応しやすい環境を整え既得権益を排除したように“業務上の垣根を下げる”ことではなかったか。倉庫業や航空貨物の取扱といった業務を障壁なく行える感覚だ。また施設、鉄道、道路のインフラ整備を行うことが物流効率化と言えよう。
 トラック業者のほとんどが中小零細だ。3PLか生業として残るしかないと分析する。本来の物流効率化とはなにか、トラック業界とはどのような体質でどのような改善が必要であるかという点をしっかり捉え、山積する問題を解決していかないといけない。
 組織・団体とは知識や知恵を集約し、それを実行するためのものだ。兵庫県トラック協会の活動において、人を非難することなく、文句でも結構、活発な議論を重ねて欲しい。
 今、協会運営として大切なことは一般社団か公益法人かの舵取りだ。あいさつの中で一般への移行であると伝えてきたが、公益への移行が緩和され全ト協が公益への移行が総会で承認されたことにより、流れが変わってきている。