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「薄膜シリコンハイブリッドソーラー」の販売を開始−太陽工業 (2/2)
今回販売を開始する「薄膜シリコンハイブリッドソーラー」は、2種類の太陽光線(青色光・赤色光)の吸収を可能にしている。青色光(紫外線などの短波長)に強い「アモルファスシリコンセル」と赤色光(赤外線などの長波長)に強い「薄膜多結晶シリコンセル」を組み合わせ、優れた発電効率をもたらす画期的なソーラーパネルとなる。

その特長は、大きく分けて3点。
1. 青色光と赤色光の両方を吸収し発電するので従来品に比べ発電効率が向上し、狭小スペースでも発電が可能となる。
2. 一部分にかかった影や低勾配でも全体の発電量が安定しているため、パネル設置の間隔を広げず敷き詰められる。
3. 薄膜なので使用するシリコン量が結晶系セルの数百分の一と大幅に低減した、環境にも優しいつくりになっている。
様々な悪条件下でも発電量が制限されず、効率よく発電できる「薄膜シリコンハイブリッドソーラー」は今後の太陽光発電の普及に貢献する可能性がある。

太陽工業では「薄膜シリコンハイブリッドソーラー」以外にも太陽光発電事業における製品開発をしている。1996年には薄膜太陽電池にスリット(切れ目)により屋内に光を入れることが可能な建材一体型太陽電池「太陽スカイライトソーラー」を販売した。ガラス屋根や壁面用として国内の官公庁や病院などの公共施設、各種大型商業施設に納入、その採用実績は100件を超えた。
さらに2010年2月には安全評価の充実として日本における電気安全規格「JET認証」を取得した。また海外に向けても同様の電気安全規格を申請しており(欧州:「TUV認証」同年12月取得済み)、(米国:「UL認証」同年12月末取得予定)、来年1月からは、欧州・米国での本格販売も開始する。

「薄膜シリコンハイブリッドソーラー」の販売価格は、10キロワットシステムで、700万円前後(税込み)にて販売予定。これにより同社の太陽光発電事業は、製品バリュエーションの追加、土木事業などを視野に入れた国内販路の拡大、さらには世界への販売の本格化などを、同時に展開することになる。太陽工業では一連の販売を強化し、太陽光発電事業の中期目標として3年後には50億円の販売目標を掲げている。これらの製品を社会に供給することで、地球環境の保全にも貢献する意向だ。