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【解説】速度超過違反の下命容認で運送会社を家宅捜索―兵庫県警
 兵庫県警は昨年5月4日に山陽自動車道御立トンネル入り口で3トントラックが追突・炎上し、3人が死亡した事故を機に事故要因を追究する実態調査を開始。スピードリミッターの装着の義務がないため中型トラックが無理な運行計画を強いられ、時速100キロを超える速度で走行している実態をつかみ、今年7月1日に県警交通捜査課、高速道路交通警察隊、姫路署などが「速度違反下命・容認事件」合同捜査班を設置し、7月8日に4社、7月26日に4社、8月1日付で本部長指揮の合同捜査本部となり、8月9日に4社の計12社を強制捜査に踏み切った。スピード超過により事故が多発している中型トラックに警鐘を鳴らすため、捜索で運行記録などを押収し異例の立件を行う方針。 
 
 パトロールカーの追跡やオービスの映像から割り出し検挙されたドライバーの中には、「滋賀県の栗東から愛知県の新居浜までの約360キロを4時間で着くよう無理な運行を指示された」と供述しており、
 
 県警交通捜査課は、大阪中央卸売場から生鮮食品を朝、昼、夕方便で運ぶ場合や新聞輸送が顕著なスピード違反が常態化している例として挙げている。たとえば新聞輸送は販売店や読者のニーズに応えるために、搬入時間を逆算すると運送会社が自ずと無理をしなければならない状況になってしまう体質があるようだ。これは業界の景気に関わる話ではなく、雇用関係、顧客関係に問題があるとみている。今回は荷主の販売店の要望に応えようとした 
 運送会社にしわ寄せが来た結果だと話す。
交通捜査課は問題点が運転者個人ではなく、顧客や荷主の要望に応えるために無理な運行計画を立てている会社や業界の実態があり、違反の元を断ちきらなければ交通事故は減少しないと分析し、家宅捜索を行った。捜索後は中型の違反や事故が減ったという。

 また、交通捜査課は「今回の捜査で、高速道路での交通事故を抑制するために国土交通省が中型トラックに対してもスピードリミッターや運行記録計の装着を義務化する動きになれば」と話す。


【解説】
昨年5月4日に兵庫県姫路市御立(みたち)北の山陽自動車道上り御立トンネルの入り口付近で、3トントラックが乗用車に追突し、追突したトラックと前のワゴン車2台の計3台が炎上し、3人が死亡した。ゴールデンウィーク中であったため、この事故で山陽道は山陽姫路東IC―山陽姫路西ICで、下りが約2時間通行止め、姫路西を先頭に最長23キロの渋滞が発生。
【解説】
道路交通法75条2項(使用者の義務)
公安委員会が過労運転(第66条の2第1項の指示)、過積載をして自動車を運転する行為(第58条の4の規定による指示)、最高速度違反行為(第22条の2第1項の規定による指示)、違反行為(自動車の使用者に対する指示)の指示をした場合、1年以内に再犯が認められれば、公安委員会は使用者に対し3か月以内の期間を定め、運転させてはならないことを命じることが出来る。
【解説】
スピードリミッター装着義務化
高速道路での大型トラック事故を減らすために国土交通省は2001年に道路運送車輌の保安基準の改定を交付。2003年9月から新車と使用課程車に対する規制開始。対象は総重量8トン以上、最大積載量5トン以上(中型免許新設以前の大型自動車以上)。
【解説】
中型トラック
普通免許で運転できる中型トラックの交通事故は、ドライバーの運転技能や知識不足よるものと指摘され、平成16年6月に交付された道路交通法の一部を改定する法律が平成19年6月に施行され、車両総重量5トン以上11トン未満等の自動車が中型自動車と定義された。