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バス産業のあり方検討会中間報告について意見交換―兵庫貸切委 (2/2)
 それを踏まえ7月19日に国土交通省自動車局旅客課長を招き日本バス協会で開かれた高速バス委員会と貸切バス委員会の合同委員会・意見交換会が開かれた。出席した寺田委員長は「議題は高速ツアーバスと高速乗合バスが中心だった」と報告。また日本バス協会の富田浩安貸切委員長(日の丸自動車興業)は「規制緩和以降、事業者数が3倍に増え、売り上げは50%減となった。人口減少と事業者数の増加と需給バランスが崩れている。新たな台数や車庫の参入基準を再検討するべきだ」と述べていたことを紹介した。

 さらに自動車交通局旅客課長は乗合と高速ツアーバスの問題について「国交省として、高速ツアーバスはコンプライアンスが保ており、違法性はなかったが、規模が大きくなると停留所の問題などを解決しないといけない」と述べていたと紹介した。また、寺田氏は国交省がバス停の問題について、ツアーバスは夜行便なので、空いている夜は乗合と交渉して譲り合えばよいのではないのかとしている見解を紹介し、「そこが問題になっているのであって、問題は加速度的に進むのではないかと危惧される」と指摘した。

 また、寺田委員長は国交省が「高速ツアーの参入により乗合は減少しておらず、ネットなどにより若者の利用者が増えた。すべての予約が比較できる楽天の予約システムに集中するようになってきている。『既存のバスの予約は扱いにくい』と利用者から指摘されており、既存の乗合バス事業者は、淘汰されないように努力して欲しい」と述べていたと報告した。

 その報告を踏まえて出席委員らは「ツアーバスは運賃が自由で、運休も自由だ。今後、乗合バスでも運賃の縛りがなくなるのかどうかが、興味の中心になる」「運賃が同じ土俵に乗ればツアーバスと競争が出来るのではないか」「身障者割引などがなくなれば収支がよくなるとこも期待できる」「現行では高速乗合は増便が出来ないが、これから他社に応援をお願いできるようになるのではないか」との意見交換が行われた。

 また寺田委員長は西日本エリア(近畿・中国・四国・九州)のバス協会に加盟する貸切バス事業関係者35名は、3月2日メルパルク大阪で田村充啓・前近畿運輸局旅客一課長、大阪府バス協会の戎順正専務理事を来賓に招いて開かれた第2回西日本エリア貸切バス事業のあり方についての検討会について「運賃のダンピングが共通の悩みであった」と報告。出席委員らは震災後の業界の状況について「運賃を安くすることが、“サービス”になっているのか?安全とのかかわりが大事だ。中国の新幹線の列車事故ではないが、日本でも起こりかねない状態だ。利用者にどう説明するかが問題だ」「3月11日以降の原発の関係で車が余り、インバウンド専門の方が高速ツアーに流れ、ダンピングが助長されてきている」「日雇い運転手を遣う事業者とはどうかんがえても負ける」と意見交換を行った。

 また、東播磨ブロックの委員から「日当が確保できないところがある。監査により襟を正していただきたい」「値段の問題は現場にあります。しかし、16時間についてご存じない方もいらっしゃる状況です。その上、南部と取引していないところはワンクッション情報が遅れています。コンプライアンスの問題を冊子にまとめて欲しい。そうしないとブロック会すらできない」と窮状を訴えた。