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【ひと】民間の力で神戸の観光産業の活性化を―早駒運輸渡辺社長
 神戸市、商工組合、観光協会などとともに“民間の力”で神戸の観光産業を活性化させていきたいと懸命な活動を続ける早駒運輸(株)(神戸市中央区)の渡辺真二代表取締役社長に、旅客船運行事業の神戸シーバス「ファンタジー」の展望と「YOKOSOみなとまち神戸コンソーシアム」の活動を通して気付く神戸の観光産業の活性化に必要不可欠なことについて考えを聞いた。

「旅客船事業の展望について」
―渡辺社長
 明治18年の創業当初の頃は沿岸荷役作業、陸送業を業種として発足しました当時はコンテナがなく、船からの荷降ろしに3日程かかり、阪神間の港は寄港する外国船や乗組員で賑わいました。それから時代は移り行き、海運業は荷物の減少や効率化などにより大きく様変わりしまた。
 平成5年に開始した旅客船業の海上バス「神戸シーバス」は、阪神淡路大震災で「外国人を中心に関空へ抜けたい人へ、すぐに動いて欲しい」との市の依頼で、市内の臨時便第1号として1月19日5時半より神戸港―六甲アイランドを結ぶ運航を行ったことは記憶に新しいです。その一方で旅客船業は需給調整の撤廃により価格競争が始まり、厳しい局面を迎えています。
これまで以上に新しい商品の開発を進める必要性を感じており、「脱遊覧船」を掲げ取り組んでいます。お客様をただ船に乗せるだけではなく、プラスアルファを先行的に考えていかなければ、価格競争に負けてしまいます。
たとえば、貸切・乗合船で成功している東京隅田川の屋形船を参考に考えると、船のデザイン性ではなく、ソフト面での工夫が必要だと考えました。弊社では若い女性のクルーを登用し、“神戸港唯一の女性船員の遊覧”ファンタジーとしてきめ細かなおもてなしを提供することに徹しております。
 また、リピーターを増やすことがキーポイントだと考え、観月クルーズやジャズライブなどのイベントを開催しています。11月にはボジョレヌーボーの解禁試飲会や12月にはクリスマスライブを開催予定で、新しい商品の発掘に尽力しております。

「神戸の観光産業の活性化について必要不可欠なこと」
―渡辺社長
神戸の観光産業の動きは他の自治体と比べて、少し緩やかで、新しい観光産業を創出するエネルギーの必要性を強く感じます。それにはこれまで各々で広報などを行ってきた神戸の観光産業の関係者が結集し、産業を活性化させるための情報の共有や産官学で作る決定機関の機能を備えた「観光のプラットフォームづくり」が神戸でも必要だと考えます。観光庁も推奨し、高知や倉敷など各地でその取組みが活発化しています。
このような中、神戸も舞台となり来年1月から放送開始となる大河ドラマ「平清盛」は、プラットフォーム作りの議論が神戸で活発化する良い“風”となるのではと期待しております。
神戸港ではまず小さなエリアからプラットフォームの成功例を作ろうと平成20年7月末に「YOKOSOみなとまち神戸コンソーシアム」(前身は 中突堤を中心とする臨海地区の活性化推進委員会)が発足しました。夙川大学院大学の小野田金司教授とともに、港に関係のある旅客船業、旅行業、タクシー業、学生、国土交通省、神戸市などの関係者を対象に観光人材育成講座を開くなど、着地型観光の理論的な理解を深めながら、魅力ある地域と商品作りを目指して準備を進めています。