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【ひと】有事は宅配のノウハウが役立つ―ジェイカス加賀澤一社長
【ひと】ジェイカス株式会社
加賀澤一代表取締役

 被災地の子供たちにスイーツとともに至福の時を届けようと、(株)モンシュシュの冷凍堂島ロールを約1800本を送るプロジェクトの中心で活動した兵庫県トラック協会西宮支部青年部会長でジェイカスの加賀澤一・代表取締役社長に現地で感じたことを聞いた。

―加賀澤社長
子どもは不思議と元気
 発生直後の3月末に状況把握に現地入りしたのですが、阪神淡路大震災を経験しているものとし率直に述べると、復興が一向に進んでいないのが、現状です。
阪急電車の復旧では、24時間の突貫工事が行われ、騒音で眠れなかった程でしたから、それとは比べものになりません。
不思議に感じたことは、子どもを亡くし落ち込む親とは、対照的に親を亡くした子供たちは元気なことでした。

被災地は嗜好品が少ない
 人は何カ月か経つと、もとの生活の食事をしたいと欲求不満になるようで、しかも、もともと過疎地で何もないところに、津波でさらに何もなくなってしまったわけです。堂島ロールにかぶりつき、美味しそうに頬張っている子供たちの顔を見て、疲れも吹っ飛んでしまいました。

関西が被災地で商売をしないと
 関西の事業者がもっと被災地に商売をしにいったらいいのにと思いました。被災された方々は私財も家族も失ってしまっているわけですから、現地の力だけでは町の再生は難しいでしょう。自治体が商売の誘致策を打ち出すなどの優遇策をとればどうでしょう。兵庫をはじめ一度被災した地域では特に、何か被災地に出来ることはないかと懸命に考える方々がいます。

有事は宅配のノウハウが役立つ
 3月におにぎりを持っていったのですが、拠点には支援物資が予想以上に早く集まっていました。しかし、列をなして待つ支援物資を積んだトラックから倉庫に入れることもさばき切れておらず、このままでは倉庫の奥の食糧品が配給されないのではないかと不安に感じました。

 もし次に大きな自然災害が発生したときには、トラック事業者が「被災地の毛細血管」を担わなければならないと強く認識しました。宅配地図を持って軽四で一件一件、支援物資を配って回ること、つまり民間の宅配業のノウハウを活用する、これのほうがよっぽどボランティアになったのではないでしょうか。