自動車ニュース
テラモターズの徳重氏が講演 関西EV会議 (2/2)
なぜ二輪でジアを目指すのか?
 EVの開発と事業化のプロセスにおいて、走行距離、必要な資金調達額と資金調達の実現可能性、品質や安全面の違いなど着目すると... 二輪の場合、開発の際に生じる障壁、が四輪に比べて低いことがあります。こうした理由から、テラモターズは“二輪から始めるEV革命”を試みています。
 ではなぜ、なぜアジアを目指すのでしょうか?海外で事業を行う際には、競合の多さ、メンテナンス網や人材教育などの確保をいかに行うか?など課題が生じます。その上でジアに進出するのは、ジア各国に大きな市場があることが最も大きな理由です。日本の年間売り上げが30万台であるのに対し、台湾が50万台、ベトナムが300万台、フィリピンが100万台、タイはやや落ち気味だが180万台、インドネシアが100万台と、ベトナムだけでも、市場は日本の10倍です。今回の話題提供では、それぞれに特徴的な魅力を持つ中国、台湾、ベトナム、フィリピンのEV市場の「今」も語られた。

中国
 普及している年間販売台数は過去10年間で約100倍の3,000万台になった。その内、約半数は自転車の形をした原付のようなもの。(電動アシスト自転車とは異なり、日本で乗るには免許が必要)普及の背景には、政府によるガソリン自動車の規制や200〜300ドルと安価でなことが挙げられる。既に、充電インフラが普及してきており、1,000か所で10分間/13円で充電ができ(鉛電池のみ)10キロ走ることができるという。

台湾
 「ITR(I イトリ)」という研究機関(日本でいう「産総研」のようなところ)がEV開発に熱心で、警察が乗る大型バイクも作られている。ITRIは産業界寄りの研究所で、半導体の事業で世界第1・2位の企業を生み出した実績もある。

ベトナム
 販売台数にして日本の約10倍の市場がある。ホーチミンにベトナム工場があり、世界で最高性能のスクーターを目指して昨年夏から自社開発を始めた。

フィリピン
 全土に「トライシクル」(バイクにサイドカーをつけたもの)というタクシーが3 5 0 万台ある。アジア開発銀行のサポートを得て、その内の10万台をEVにするというプロジェクトがある。また、四輪については、ジプニー(Jeepney)のコンバージョン技術がなく、技術面での日本企業への期待が大きい。フィリピンの富裕層は、環境問題に対する意識が高く、EVの取り組みへの意欲が高い。一方、富裕層ではないエンドユーザーは、燃費の安さという面でEVへのニーズが高い。(フィリピンはガソリンが高価)徳重氏は、「こうした機会に恵まれたアジア市場において、四輪では米テスラがEVのトップだが、二輪で日本からそういう会社を出したい」と、思いを述べる。「コンセプトとして斬新なデザインで、『ガソリンが電気になり、モーターに代わっただけ』ではない付加価値を持った未来の乗り物を日本から出したいと思っている。…日本にはEV会社が、本格的なところがありませんが…『ベンチャー企業にもできるんだ』ということを証明したい。日本からEV革命を起こすような企業を出して行きたい。」というEV革命にかける意気込みを語っていた。