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EVPOSSAとは?普通充電の規格の行くへ (2/2)
普通充電とは?
 EVと言えば、急速充電器で充電をするといったイメージが定着してきているが、もちろん家庭用電源での充電も可能。車両を購入すると、普通充電用のプラグがセットで付いてくる。ただ、家庭での普通充電には200V15Aの電力容量が必要で、100Vの通常コンセントとは異なる。
 日本国内の家庭用電源は、多くが単相3線(100V・200Vの両方が使用可能)。 EVの普通充電には、脱衣場などにある分電盤から、200Vの配線を車庫まで延ばす電気工事が必要だ。

認定制度とは?
 IEC61851-1:2010 Electric vehicleconductive charging system - Part1:General requirementsをベースにしており、これに必要不可欠な安全試験や互換性に関する試験を追加した試験基準だ。AC普通充電器のMode2やMode3で、コントロールパイロット通信機能を有するものが対象。
 認証は、電気用品安全法や電気事業法などへの法規適合を前提として、以下の観点から製品を審査する。
(1)AC普通充電器に必要な、必要最小限度の安全性が保たれているか?
(2)不特定多数の自動車または充電器との接続性(互換性)を有するものか?
(3)一定の品質で生産可能な能力(品質管理)をもとに量産された製品か?
 これらを実現するために、上述のIEC61851-1をベースに、以下の5つの認証基準を構築し製品認証に適用する。
・JARI A 0001:製品認証基準
・JARI A 0101:安全技術基準
・JARI A 0201:互換性技術基準
・JARI A 0301:出荷検査基準
・JARI A 0401:工場審査・品質マネジメントシステム要求事項
 これまでのIEC規格の認定基準が実情にそぐわない状況にあり、認定基準をより詳細にして、普通充電器の精度を上げるのが目的。しかし、海外とは常用電圧に違いがあり、「普通充電器の規格で、世界シェアを目指すのは難しい」と考える側面もあるようだ。
 普通充電は交流が用いられ、コンセントによる充電ではMode1、Mode2があり、充電器による充電はMode3にあたる。JARIの認定制度は制御回路が充電ケーブルもしくは充電器側に内蔵されていることが条件となり、制御回路のないMode1は対象外となる。さらにMode2の中に充電用コンセント、壁掛型、自立型などに分類されるが、その中でも車載充電ケーブルのみが対象となる。

洗練とPRが必要
 今回の発表会に出席した普通充電器メーカーらは、JARIのこの認定制度に疑問を募らせた。JARIが行った説明に対し、認定制度取得の価値を上手く見出だせず、厳しく突っ込んだ質問が飛び交った。
 この制度は、JARIの認証を受けた製品が、安心安全な普通充電器であることを保証するもの。EVやPHVの購入者が増えつつある昨今、大手メーカーが一体となって取り組んでいくことを狙った動きだ。この制度が社会的に浸透し、ユーザーの安全が確保されるよう、制度や基準の洗練と今後の普及活動が鍵となるだろう。