自動車ニュース
パリの交通事情 (3/3)
車庫証明が不要
 フランスには自動車の購入時に保管場所を届ける法律がない。すなわち、日本のような車庫証明が存在しない。カーシェアリングを国別で比較する際に、車庫証明があるかないか?つまり、保管場所の届出が義務かどうか?も一つの着眼点になる。ちなみに、ドイツでも車庫証明が不要だ。
 では、自家用車はどこに駐車するのか?というと、公共の駐車場や路上駐車スペース、自分の車庫や駐車場に駐車する。市内であれば路上駐車は有料だが、警察が来るまではタダ。駐禁をとられても「運が悪かった」といった程度の感覚。それは、駐車違反の罰金が安いからだ。
 2011年8月、25年ぶりに、フランスの駐車違反の罰則金が11ユーロから17ユーロに値上げされた。といっても、大多数のパリ市民は、「駐車料金を半日払うより、路上駐車で罰則金を払う方が経済的」という感覚だ。ちなみに公共駐車場の料金は、1時間で平均3 . 5ユーロ、1日27ユーロ、1カ月250ユーロ。アパートの駐車料金は、毎月100〜250ユーロ程度だ。
 ボロレのスタッフに「フランスに車庫証明がないようだが、困らないのか?」と質問すると「どうして?空いているスペースに駐車すれば良いだけでしょ」という答えが返ってきた。「だから、路上駐車で道がいっぱいになってしまうのだけれど…」と付け足しながら。
 日本も軽自動車は数年前まで車庫証明が不要だったが、違法駐車を取り締るために義務化された。面倒な車庫証明だが、パリの街に溢れかえる自動車を見ていると、日本の車庫証明制度は上手く機能しており「あってよかった」と感じるほどだ。

ヴェリブとメトロ
Véli b’(ヴェリブ)を使う20〜40代の姿をよく見かける。ヴェリブは2007年に開始した自転車のシェアリングサービスで、24時間利用が可能。市内の30 0 mごとに1800のステーションが設置されており、愛用者が多い。
何人かのパリ市民から話を聞いたが、会員カードはメトロの定期券と一緒になっており、便利なのだそう。利用にはパスの発行が必要で、1日パスが1.7ユーロ、1週間で8ユーロ、1年間で29ユーロ。使用料金は最初の30分が無料で、追加の使用料は次の30分が1ユーロ、以降30分ごとに2ユーロとなる。運営は大手広告代理店のDecauxが行っている。