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日本版オートリブ実現なるか? (2/2)
日本でレンタカー事業を行う際の法令は、道路運送法の第五章「自家用自動車の使用」の中で触れられている。関係通達では「貸渡人を自動車の使用者として行う自家用自動車の貸渡し(レンタカー)の取扱いについて」に記載されており、使用料金を受け取って、自家用自動車を貸し出す場合は「有償貸渡し」という。国土交通大臣の許可を受けなればいけない。
 法律上カーシェアリングは、「レンタカー型カーシェアリング」と分類され会員制により特定の借受人に対して、自家用自動車を事業として貸渡すことをいう。レンタカーは車両の貸渡しや整備・管理は設置事務所で行わなければならない。しかし、カーシェアリングの場合、車両の貸渡し状況や整備・管理状況がITの活用により確実に把握出来ていると認められた時、設置事務所以外でも車両の貸渡しや整備・管理が認められる。

「乗り捨て」は日本でもすでに実施
日本では「乗り捨て(A t o B 型)」がすでに実施されている。レンタカーの「乗り捨て」については、配置事務所が車両の整備・管理をし、同一の企業内や提携事業者の事務所間であれば、認められている。ただし、通達では“常態化しないように”と釘をさしている。したがって国土交通省は「現行通達で、乗り捨ては可能だ」と説明する。

“使用の本拠地の位置”がネック
 日本においてもオートリブ型(X to X型)が可能なカーシェアリングが可能のように思えるが、実情はそうではない。「車庫証明」、すなわち“ 使用の本拠地の位置” が問題だからだ。車庫証明は、法律的には「自動車の保管場所の確保等に関する法律」、一般的に「保管場所法」または「車庫法」に明記されている「自動車保管場所証明」のことを言う。「車庫証明」は、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的としている。所管は国土交通省だが、自動車の保管場所(使用の本拠地)の申請を受理し、車庫証明の交付を行うのは、各都道府県の警察署となる。
 オートリブ(X t o X 型)のように貸出場所と返却場所、管理場所が不明確な車両管理は、この車庫証明の締りに抵触する。

日本版オートリブ実現に向けての動き
 日本版オートリブの実現に向けては、環境省が調整を続けている。平成22年度に環境省の「地球温暖化対策技術開発等事業(競争的資金)」で、オリックス自動車をはじめ、日本ユニシス、イード、JCBなどが実証実験を行った。オリックス自動車は、充電インフラシステムと連携したカーシェアリングシステムの開発、「日産リーフ」用カーシェアリング車載装置の開発、充電インフラシステムとカーシェアリングシステム間のインターフェース開発、ワンウェイ利用(乗り捨て)運用ロジックの開発を行った。システム実験地は大阪府の吹田市と豊中市だ。補助額は車両購入・技術開発費等の1/2。

 環境省及びカーシェアリング関係事業者は、オートリブ型ワンウェイ利用の実現に向け、国交省及び警察庁と調整を続けている。警察庁と国交省の見解では、オートリブ型ワンウェイ利用(X to X)は、保管場所や使用の本拠地に戻ってこない可能性があり、「自動車の保管場所の確保等に関する法律施行令(管轄;都道府県警察本部の公安委員会)」と「道路運送車両法(管轄;国土交通自動車情報課)」が有名無実化する恐れがあると指摘している。