自動車ニュース
EVカーシェアリングのオートリブは黒字なのか?
Autolib’の利用実績は?
 パリ市民の仕様状況について運営会社Bollore'のColombier氏は、「パリ市民も疑心暗鬼なようで、システムがちゃんと機能するのか?様子を見ているようだ。まず、男性が使用し始めており、女性は男性が上手く使いこなすのを見て、使い始めているようだ」と語る。

 観光インフォメーションからの問合せも増えているそうだ。
「アメリカからの観光客が、メトロやバス、タクシーの代わりに、ブルーカーを乗り回すので、驚かされる」と、笑いながら話してくれた。オートリブは海外旅行者も利用可能なため、旅行客がスマートに利用している事例も多いと言う。
 また、往診に使う医者も多いだけでなく、メトロやバスよりも確実に利用できるため、ビジネスマンも使用している。
 まだまだ利用が始まったばかりで、徐々に利用者が増えている状況だが、3月16日現在、毎日800台(A to Bを1回とカウントした場合)がレンタルされ、1日の平均利用時間は4時間程度とのことだ。

EVの充電はどうやってするの?
ブルーカーの充電器等は、ボロレの子会社のIERが開発製造する。充電には、急速充電器ではなく普通充電を使用。パリの電圧は220Vで、周波数は50Hzなため、急速充電を使用しなくても、一般の電圧で運営がまかなえるようだ。
ステーションでは、貸出機器が自動的に、最も蓄電量の多い車に誘導してくれる。満充電になっていなくても、市内を走行する程度であれば、問題ない。また、走行中に充電がなくなりそうな場合は、オペレーターと通信し、近くのステーションで代わりのブルーカーと交換してもらえる。

改善はどのように?今の課題は?
 メールやFacebookで利用者の意見を収集して、1つ1つ丁寧に回答しながら対応している。現在、手をこまねいているのが、多くのユーザーがEVの乗り方を知らない事。パリを走る自動車のほとんどはMT車のため、「使い方が分からない」といった問合せが多く寄せられるそうだ。せっかくカーナビの映像によって、使用方法を説明しているにも関わらず、ほとんどの利用者がスキップしてしまう。そのため、近々HP上に、紹介ページを設ける予定だ。


Bollore’は黒字?
 ボロレ担当者は「昨年12月から開始したところで、1日の使用も800台程度。毎日のようにステーションを増やしているところで、収支バランスは明確でない」と話す。テレビ通信やKioskでの配置スタッフなど人界戦術をとっているため、黒字化していない状況だ。オートリブの運営には年間8000万ユーロのコストがかかるが、目標としているのは、年間8万人が週に2回1時間使用する稼働率だという。
 オートリブで働くスタッフ“アンバサダー”は、朝・昼・晩の3交替で、1日約400人が働いている(2012年3月16日現在)。今後1000人以上に増やす予定だが、学生アルバイトなども多いのだと言う。アンバサダーの仕事は、オペレーターとしての登録業務やユーザーの誘導、ステーションでの車両の管理・整備、キオスクの管理と案内、溜まった車両の移動など。アンバサダーへの給料は、パリ市など自治体からの雇用補助が出ているのかと思ったが、ユーザーの利用料からまかなわれている。