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自動車業界で活躍する若手経営者―太田美品通商の太田剛進社長
「海外で勝負したいんですよ」と太田美品通商(株)(大阪府東大阪市)の太田剛進代表は夢を語る。太田美品は東大阪に本社を置き、バス・トラックのオルターネータ―やスターターのリビルト部品を専門的に扱う。景気低迷や保有台数の低下などで先行きの不安定な自動車業界の中、HP 上で部品の価格提示を他社に先駆けて開始するなど、攻めの体勢を崩さない。

―視点と志で会社経営は変わる
 「10年以内を目途にアジアに工場を作る目標を立てています」と意気込む太田社長。世界に目を向けるリビルト部品の太田美品通商(株)は、どれだけ大きな会社なのか? と思ったが、実はとてもアットホームだ。 太田社長も「英語や中国語が流暢に話せないので、そんなに挑戦家でもなかったですよ」と謙遜する。「小さな会社だから」「自動車修理関係だから」「言葉が出来ないから、海外の話なんて無縁だ」といった話ではなく、視点や志で大きく会社経営が変わることがわかって励まされる。

 目の前の難題に直面しても、それを打開する策を見つけるために考える。また気になることがあれば、足を運んで実際に見に行く。お客様のニーズに応え、お客様の利益を考え最大限の努力をする。これらは当たり前のことだが、それを見失いがちな雰囲気が自動車修理業界を覆っている。この先どうなるのだろうかと不安ばかりが先走り、行動に移せない。ついには「この業界はどうしようもない業界だから」と挑戦することを諦め
る経営者が増えてきた。

―自分で海外の展示会に行くことで世界が開けた
 太田社長が海外に目を向け始めたのは台湾で毎年開催される世界最大級のオートアフターパーツの見本市(AMPA)などの展示会に見に行くようになってからだそうだ。国内メーカーの出展ばかりで、日本人の来場者がほとんどの国内の展示会とは違い、数日では回り切れない程の出展者と世界各国から押し寄せる来場者が、その場で商品の取り扱いについて、電卓を弾きながら交渉を行う活気ある雰囲気に高揚したという。「是非、自動車修理業界の若手経営者には、海外の展示会に実際に足を運んで、ブースを遠くから眺めるのではなく、現地の出展者と交流を持ってほしい。言葉が通じなくてもモノを見れば何かくらいは分かる。どのように商いをしているのか、知ることにより大きな刺激をもらえます」と進める。世界情勢が日本国内の景気に大きく影響し、国内の自動車修理業界にも影響が左右する。観光だけではなく、他国の自動車業界を肌で感じることは今後の経営を考える上で大きな財産となる。

 太田社長がアジアで挑戦したいと考えたのは、自動車メーカーの製造工場が集積しているからだ。それに加えて人柄にほれ込んだ。「日本では決まりごとと既得権益で固められ、新しいことを生み出す環境にない。しかも少々の失敗でも許す寛容さが社会にない。これではイノベーションが起こすには難しい状況にあるのではないでしょうか」と疑問を投げかける。

アジアでは昔の日本のお父さんが何でも自分で直せたように、みんな手先が器用で、事務所の配電などは自分でやってしまうほどなのだという。アジアでは自動車の保有台数に対して、自動車修理業者が足りていない。またリビルト部品で直す文化も定着していない。そういった実情を踏まえて太田社長は、ゆくゆくはアジアにリビルト部品の文化を根付かせることを目標に計画を進めている。