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【対談1】タイムズ24とBMW「カーシェアの可能性は?」 (3/3)
—— BMWとMINIは全国に何台設置されていますか?

内津氏:BMW116i、MINI-ONE、MINI-CROSSOVERの3車種を合わせて全国に約150台設置済みです。利用者の年齢層は幅広く、特徴はありません。
MINI(の利用方法)は、他の車種と異なる点があります。それは、カーシェアリングは元々、短時間利用が多いのですが、MINIは走行距離が長い傾向がある点です。長時間乗っていたくなる車なのだと思います。
「タイムズプラス」なら、国産車と外車を食べ比べることができます。「(国産車と外車は)全然違う」という、乗り比べて初めて分かる声をいただくのは私たちとしても嬉しいです。

—— 利用者情報を活用して新たな展開も?

内津氏:我々のビジネスの特長は、入会する時にある一定の情報をいただくため、どんな人が、いつ、どこで、どんな車を借りたのか分析をすることができます。
カーシェアリングで車を借りる方は、将来の(車の)購入予備軍だと思います。そういった方々が「何歳の人が、どこで、何色の車に乗ったのか」というデータは、おそらく世の中にはない情報です。ショールームでは色が選べませんが、タイムズプラスでは色が選べます。
ですから、新たな車を導入する際は、いろいろなカラーの車を購入するようにしています。たくさんある色の中から、「今日は何色にしようかな」と選べる。とくに女性は特徴的で、「赤い傘だから、赤いミニにしよう」とか、「靴の色と合わせる」とか、色を重視します。そこがMINIを導入した狙いでもあります。

佐藤氏:移動手段だけじゃないんです。ライフスタイルの一部のような。

内津氏:「今日はどの服を着ていこう」と同じ感覚になっていただけたら嬉しいです。それができるのはMINIの特徴だと思います。

佐藤氏:MINIを選んでいただき、とてもありがたい。そういったニーズをキャッチしたブランド、商品だと思います。

—— 今後、カーシェアリングに求められるものは?

佐藤氏:タイムズ24さんとのパートナーシップに基づくカーシェアリングを前提に考えると、現在、全国で約10万人の会員数をお持ちです。この圧倒的なシェアを考えると、様々な提案、取り組みができると思っています。それは、タイムズ24さん以外のカーシェアリングサービスプロバイダーとの間ではできないものです。

内津氏:タイムズ24は車がなくなると困る会社。当社発で世の中にどんどん車を増やしたいという思いもある。会員様にはご退会頂いてもいいと考えています。その代わり、どんどん車を買ってほしい。
「タイムズプラス」に入会する方は、基本的に車に関して寝ている子。例えば、1年間着ていない服は忘れるじゃないですか。今の日本で車に触れない方は、忘れつつあるのかもしれません。「タイムズプラス」という軽いファーストタッチで1度起きて、車を楽しんでもらえば、その中には「買いたいな」と思う人が必ず出てくるはずです。そういった人に車を購入してもらうことで、免許保有者ではなく、リアルなドライバーを増やしたい。ビー・エム・ダブリューさんとともに、国内でそういったマーケットをつくっていきたいと思います。

佐藤氏:車に乗ってもらい、買っていただくのはありがたい話ですが、それが目的じゃなくて、まずはビー・エム・ダブリューグループの車づくりの哲学を体験していただきたい。その感動を友人、家族、会社の同僚らに話してくれることを期待しています。自分の中だけにとどめておけないくらい素晴らしい体験ができるブランドです。その絶好の舞台が、10万人の会員数を持つ「タイムズプラス」以外にはないと感じています。

—— タイムズプラスの利用者をどのように購入につなげますか?

内津氏:今はまだ実験段階です。お客様にプッシュしたらうるさがられますので「皆さん、買ってください」というプッシュ型はしません。
ただ、お客様に軽いご案内をかけてみたいと思っています。「ディーラーに行ってもいいかな」という選択肢を提供する実験を始めています。「タイムズプラス」の会員10万人。この方たちに対して、会員10万人突破キャンペーンを行いました。
MINIの料金を通常の15分400円から半額の200円にしたのと合わせて、「ディーラーに行くといいことがあるよ」というキャンペーンです。

佐藤氏:足を運んでくださったお客様には傘をプレゼントした。相当数の来場があったと聞いています。

内津氏:カーシェアリングビジネスは黎明期なので、乗っていただくのが第一段のゴール。買っていただくのは次の段階。「乗って楽しい」という気持ちが蓄積されれば、自然に買いたくなる人も出てくるはずです。ワインの熟成のように、触らない期間が必要。安い買い物じゃないので、「よし、明日買おう!」というわけにはいきません。車は良い思い出があると、「いつかは買いたい」と長い間、心に刺さっているもの。今の若者は心に刺さっていないので、一度心に刺すのが目的。