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【特集】関越道バス事故を受けて、国土交通省の対応 (1/3)
関越道バス事故後・・・

 国会でも事故を受け、5 月18 日に行われた衆議院国土交通委員会の参考人質疑では、国交省の監査指導体制のあり方や新規許可基準の問題などについて、質問が集中した。
 安部誠治 関西大学教授は「国の許可基準をクリアした事業者が一定の安全を担保できないことがおかしい」と、許可基準の見直しの必要性を指摘。
 日本バス協会の小田征一副会長 兼 高速バス委員会委員長も、新規許可基準の見直しの他、増え過ぎた既存事業対策の必要性を訴え、「旅行会社から低運賃で仕事を受けなければ生きていけない状況が続く限り、いくら新しいルールを作っても、買い叩かれ、最終的には人件費削減につながる。旅行業者が一定の責任を負うようなルールを明確にすべきだ」と強調した。

 来年7月末からは、この新高速バス制度が導入される。
この7月末には、道路運送法施行規則や一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款、関係通達の一部の改正を行った。
高速乗合バス事業者が委託できる車両数の上限を委託による実働車両数が、直営による実働車両数に対し、1.1年当たりの直営車両数の1倍以内(委託者の乗合バス事業に係る一定期間の法令遵守状況に応じ、2倍以内)2.1日当たりの直営車両数の2倍以内であること。(ただし、委託車両数は乗合バス事業者・貸切バス事業者への委託車両数の合計。実働車両数の実績は報告で確認。超過した場合は処分を行う。)と設定した。また、受託者から第三者への再委託の禁止も設定される。
 運賃については、幅運賃の設定を行い、高速乗合バスの割引運賃について、運賃タイプ毎に、上限額と下限額(上限額の80%以上)の幅による届出を可能にした。

 さらに、国土交通省では、「バスドライバー実態調査」を全国で実施し、アンケート結果から夜間安全に運転出来る距離などを検討した。
アンケートは4970 人に配布し、その57.8%の2875人から回答を回収した。(6月22日現在)ドライバーの年齢は40代が全体の約40%を占めた。
夜間に安全に運転出来る距離について(バスドライバー2837人が回答)は累計80%が450キロと答え、累計90%では500キロと回答した。夜間に自分が安全に運転出来る距離について(バスドライバー2811人が回答)累計で80%が400キロ、累計90%では500キロと回答した。
 また、健康管理と安全に運転出来る距離については(バスドライバー2855 人が回答)、「ドライバーの健康状態を把握出来れば、安全に運転出来る距離は変わる」可能性について(2855人が回答)は、約35%が変わると回答した。健康状態の把握方法に改善の余地があることがわかった。
 勤務前日の平均睡眠時間では(2812人が回答)、6時間が全体の48.3%に当たる1357人が回答し「5時間以下」、「6時間」、「7時間」と回答した割合が全体の約90%を占めていることがわかり、十分な睡眠がとりにくい状
況であることが明らかになった。「運行指示書に無い場所での休憩」について(2802 人が回答)は約30%が月に数回以下で休憩を取っている実態が明らかになった。疲れを感じた時などに自由に休憩が取れるよう対策の必要性
が浮き彫りになった。「強い疲れや眠気」について(2837 人が回答)は、無いと応えたのは26.2%のみで「年に1〜2回」が38.3%、「1カ月に1回程度」が18.9%を占め「ほぼ運行のたび」が2%も占めており一部で疲労の常態化も見られる結果となった。

 厚生労働省が高速ツアーバスを運行する貸切バスの339事業場を対象に行った立入検査では、バス運転者の労働時間違反が219件あり、最大高速時間の違反が209件あった。