自動車ニュース
近畿の観光資源、活かしていきたい―大黒近畿運輸局長・記者会見 (2/2)
(大黒局長)タクシー収入全体が減少する中で、減車で日車営収の改善がみられる。しかし各地域の指標が十分でないといして、再指定となった。これまでの努力を無にしないようしにしたい。


自主減車した業者と非協力事業者がある。不公平だと不満の声もあがっている。ヒアリング、調査、監査の3ステップで対策を講じてきたが十分でない。非協力事業者に対する対応策について
(大黒局長)営業収入全体が減少する中で、日車営収が回復しているのは事業者が減車に取組んで頂いた成果である。一方で減車しない事業者がそれにフリーライドしているという指摘はその通り。多くの事業者が不公平感を持っていると認識している。
 非協力事業者には調査・監査を実施して減車を促す取組みはやる。我々は与えられたツールでやる。


行政処分で訴訟が多いが処分が厳しいためでは
(大黒局長)輸送の安全確保の観点から行政処分を課している。処分基準に従って時には淡々と課している。処分基準は全国共通で公正に行っている。近畿だけが特別に厳しいとは認識していない。
 訴訟が多いのは事実。なぜ多いのかは分からない。訴訟が訴訟を呼ぶのか、近畿独特の文化があるのかもと思われる。


タクシーの労働力の確保について所見を
(大黒局長)平成20年12月の交通政策審議会答申にあるように賃金等の労働条件の悪化で若年労働者の就職意欲を減じる要因と指摘されている。そのためにも早急にタクシーの適正化・活性化を図り労働条件を改善してタクシーを魅力ある産業にすることと思う。


今後のタクシー事業の展望についての見解を
(大黒局長)規制緩和後にタクシー車両の増加、激しい値下げ競争で利用者の奮い合いをした。そこで平成21年にタクシー事業適正化・活性化法の施行に至った。まずは今いるお客を大切にすることが重要。外国人や旅行者が一番に利用する交通機関はタクシーで、日本の印象やその地域の印象を最初に持たれる対象だ。そのために、接客マナー向上や迷惑駐停車の撲滅といった、質の向上にタクシープライドを持って取り組んで頂き、新たな需要を開拓する努力を経営者にお願いしたい。


「監査のあり方検討会」の内容について
(大黒局長)本日(10月31日)、中間とりまとめが発表された。「効率的・効果的な監査の実施」と「実効性ある行政処分等の実施」について方向性が示されたと思われる。基本的には貸切バス事業に関する内容だが、他のタクシー、トラックも念頭に置いたものだ。共通するところはあると認識している。


近畿は観光地が多い。観光事業者で何かご提言を聞かせてください
(大黒局長)確かに近畿は世界文化遺産をはじめ観光資源が多い。豊か過ぎて活用されていない感もある。航空・新幹線といった交通ネットワークの要にあり、比較的短時間で移動できる。近畿ならではの魅力と情報を国内外に発信したい。具体的にはビジット・ジャパン地方連携事業による韓国・中国をはじめとした海外旅行エージェントやメディアを招請し、ファムトリップ(現地視察)の実施など誘客促進に努める。
 また、国内観光地では、着地型観光の推進、地域振興のため歴史・文化・スポーツ等ニューツーリズムを通じた観光振興等の取組みを推進する。これらの取組みは、地方自治体、観光事業者、鉄道、バス、タクシー等、運輸事業者、地元住民らと連携を密にして実施して参ります。


近畿地区における超小型モビリティの普及推進について
(大黒局長)国交省は超小型モビリティ導入に向けたガイドラインを本年6月に公表した。今年度中に技術的要件を整理し、「二人乗り超小型モビリティの認定制度」を創設する予定です。
 道路運送車両の保安基準第55条に規定する基準緩和を行うことが出来る自動車に、超小型モビリティを追加し、申請者として想定する地方公共団体の長等からの申請により地方運輸局長が認定する制度となる予定。一定地域で特例的に認めていくことになる。このため相談やアドバイス等支援して行く。


主に代行業者によるユーザー車検の前整備・後整備における確実な整備策についてお聞かせ下さい
(大黒局長)ユーザー車検は車検全体の11.6%を占める。このうち代行業者による受検は、全ユーザー車検中84.6%。これらの車両について、後整備も含め定期点検整備を実施していないものも見られることから、確実な点検整備実施への励行策が重要と認識している。
 近畿運輸局では、点検整備推進運動等あらゆる機会を捉え、確実な実施を促している。また、街頭検査の際、定期点検の行われていない使用者に対し早急に点検整備を実施するよう指導している。
 このほか継続検査を受検する点検整備を実施していない自動車ユーザーに対して点検整備を促す「啓発ハガキ」を送付している。本年から軽自動車についても「啓発ハガキ」を新たに送付することとしている。


これまでの職務で印象に残っている事があれば教えてください
(大黒局長)昭和58年の運輸省自動車局総務課係長の時、大阪陸運局(当時)から「なにわ」ナンバーの申請が上がってきた。認めたが、これがご当地ナンバーになっていった。


趣味は?
(大黒局長)旅行です。昭和59年に国鉄新潟鉄道管理局旅客課長当時は、観光営業で旅行商品を売り歩いた。自分でもよく売ったと思っている。大阪の印象は、大きな商店街が多い。これはコミュニケーションがある文化だからだと思う。大阪独特のコミュニケーションがあって能力が高いのだと思う。タクシーに乗ってもすぐ運転者が話かけてくる。観光の話があったが、大阪・京都・神戸と3都市に違いがあって、しかも公共交通機関が便利で移動がしやすい。新しい観光が発信できると思う。
 本日はありがとうございました。


経歴
大黒伊勢夫(だいこくいせお)
昭和28年9月13日生(58歳)
出身:広島県
学歴:
昭和52年3月:東京大学経済学部経営学科卒業
昭和53年3月:同学部経済学科卒業
昭和53年4月:運輸省採用
平成6年6月:九州運輸局企画部長
平成15年7:月国交省自動車局貨物課長
平成18年7月:九州運輸局長
平成20年10月:観光庁観光地域振興部長
平成21年7月:国交省海事局次長
平成24年9月:近畿運輸局長