自動車ニュース
充電インフラと課金ビジネスを どう繋げるのか? (2/2)
震災以降、求められるEV の新たな役割
 経済産業省の丸山氏はEVの新たな役割について、「震災を受けて発足させた研究会ではエネルギー需給調整機能」を上げ、「非常時の電源供給」「太陽電池と組み合わせて施設単位での自立拠点整備」「スマートグリッドによる新たなまちづくり」の3つのステップを紹介した。
 充電インフラに関しては計画的な配備を進め、どうしても距離が短い,スタンドがない,というイメージが付いてしまっているのを変えていく。また、自宅で充電ができないとEVは買えない、マンションに住んでいると個人の裁量では充電器を設置できない。
 そういった場合でも充電器を利用できるようにマンションへの整備を後押しする考えだ。

ソフトバンクが考える充電ビジネス
 こういった動きの中で、ソフトバンクの山口氏は、エネルギーをソトで使えるモデルを7年前から考え、「効率良く」と「地産地消」を狙ったビジネスモデルを構築しようとしている。そのビジネスモデルも実戦段階を迎えつつある。具体的には、電車のSuicaのように、エネルギーを使うライフスタイルももっと簡単にならないかということを目指し、どこが作った電気をどこに渡したのか明示して、決済などを便利にするサービスだ。どちらかと言えば、電気を使う利便性を高める仕組みになりそうだ。例えば、何の電気なのかを色分けをしたり、「売らないにしても、なにか代替のサービスを提供できたら」(山口氏)と考えているようだ。

充電インフラサービスの共通化は?
 一方、EVユーザーからは、電設備の囲い込みについて、「月々の料金+従量課金制となっていて、月々料金を払ってカードを持っていないと充電できないということになっている所があります。一枚のカードで済むようにして欲しい」と行政の指導を期待する声もあがった。

囲い込みではなく協業へ
 この声に丸山氏は、「充電に対して課金するビジネスが成立する、というのが早道なのではないでしょうか。まだビジネスとしては厳しいでしょうが、彼らがうまくビジネスモデルを作れれば発展すると思います。それに現状、台数が少ないので囲い込みしないと成立しないのは理解できます。
 しかし、現在充電設備は1300台強ありますが、囲い込みではなく協業しないとインフラとEVが発展しません。負のスパイラルにならないようにしたいと思います。囲い込みをしたとしても,いざ充電しようした際に充電できないのはやめてほしい。
 例え値段が高くてもできるようにお願いしています。非常時なども必ず使えるように約束してくださいと伝えています」と行政の考えを示した。

共通したプラットフォームが必要
 一方、山口氏は、「昔はお金を出して水のペットボトルを買うようになるとは考えられなかったでしょう。しかし今では当然のように冷たい水のペットボトルを買うようになりました。このような非連続的な変化がエネルギーにも起こせるかということが課題です。充電したい人、充電させてあげたい人とその間の人がそれぞれ納得できるようにすれば成り立つのではないでしょうか。囲い込みたいのはそうですが,利便性が必要です。例えば、まずFeliCaという基盤があってSuicaなどは発展しました、このようにそれぞれの人がバリューチェーンに納得できれば発展するのではないでしょうか?」との考えを示した。
 充電インフラと課金ビジネスにも、卵が先が鶏が先かの議論もある。EVの販売数と充電インフラ数と同じような関係だが、着実に前進してきているのは事実だ。国内の急速充電の連携も進み、普通充電のネットワーク化も始まった。新たな課金サービスモデルが、産声を上げる日も近そうだ。