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13年中に東京進出 ヘイローネットワークHD

 タクシー配車支援アプリの世界最大手、英国のヘイロー・ネットワーク・ホールディングズ(HD)は2月5日、3000万ドル以上の資金調達を完了し、東京をはじめとする世界主要都市に進出する計画を発表した。
 日本国内では、同HDの日本法人であるヘイロー・ネットワーク・ジャパン(東京都渋谷区)がKDDIと提携。顧客開拓やマーケティング、日本向けアプリ開発などの分野で協力する。
 ヘイロー・ネットワークは2010年にロンドンで創設。スマートフォンのプラットフォームをベースに、個人の位置情報と輸送機関を組み合わせることにより、双方の移動効率を飛躍的に向上させた。
 創業者のグループにはロンドンのタクシードライバーも含まれており、「ドライバーにより、ドライバーのためのアプリ」として、現場で圧倒的な支持を得ているという。
 乗客の利便性が高まるだけでなく、ドライバーの売上増加、タクシー会社の運営コスト低減を実現。ドライバーと乗客のマッチングだけでなく、SNSやビッグデータを活用した需要予測機能も備え、実車率向上による運行のスマート化も図れる。
 資金調達では、ニューヨークを拠点とするベンチャーキャピタルでTwitterやFoursquareなどへ投資しているUnion Square Ventures、Phenomen Ventures、ヴァージングループの総帥リチャード・ブランソン卿などが新しく投資家に加わった。既存の出資者であるAccel Partners, Wellington Partners, AtomicoはFacebookやSkypeなどの優良企業を発掘、育成した有数のベンチャーキャピタル。ヘイローでは2011年11月のサービス開始以来、こうした投資家から計5000万ドル以上の資金を調達しているという。
 共同創業者で、ヘイロー会長のRon Zeghibe氏は「ヘイローは発足から1年足らずで、ただのコンセプトから真のグローバルな事業となる可能性を秘めたビジネスへと変化してきた。世界中でタクシー業界の活性化に貢献できると考えます。私たちのようなビジネスでは、ドライバーが多ければ多いほど、魅力を感じてもらえ顧客数も増える。ドライバーと顧客の両方に提供する私たちのサービスは、成長し続ける好循環を確約する。今回の資金調達は日本をはじめとするアジア展開をサポートし、北米やヨーロッパでの深耕にもつながる。日本のタクシー市場規模は巨大で約220億ドルの価値があり、東京市場だけでもロンドンやニューヨーク市場の2倍に相当する。日本で最初の配車、乗務員営業支援、カード決済を一気通貫で可能にするモバイルタクシーアプリとなる」とコメント。
 KDDIの高橋誠専務も「ヘイロー社へのKDDIオープンイノベーションファンドからの出資および当社との協業を発表することができ、大変喜ばしく思う。ヘイローのヨーロッパや北米での素晴らしい実績は、アジアのマーケットでの成功につながると確信している。中でもロンドン・ニューヨークとならぶサービス水準の東京で、重要な交通手段であるタクシーの配車効率化・最適化の支援にパートナーとして一緒に取り組めることを、とても意義深く感じている」としている。
 ヘイロー・ジャパン社長兼ヘイロー・アジアパシフィック社長の藤井清孝氏も「プロ意識の高いタクシードライバーが多くいることで知られるロンドンでの成功は、信頼できるタクシーのサービス水準を誇る東京でも良い基盤となる。また、KDDIとの提携により、乗客とタクシー会社のいずれにとっても従来以上の利便性、経済性を提供できる。ヘイローというグローバルなブランドを利用することにより、東京を世界でもオープンな都市との印象を作ることで、オリンピック誘致への役にも立ちたい」としている。