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安全安心回復プランを発表 国交省

 国土交通省は4月2日、「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」を発表した。2012年4月に発生した関越自動車道での高速ツアーバス事故を受け、各検討会で議論された内容を踏まえてまとめたもの。13、14年度の2年間にわたってプランに盛り込まれた措置を実施し、事故の再発防止と信頼回復を目指す。
 具体的な取り組みは、「新高速乗合バスへの移行・一本化」と「貸切バスの安全性向上」に区分。現行の高速ツアーバスについては、今年7月末までに新高速乗合バスへの移行を完了し、8月以降は高速ツアーバスとしての運行を認めない。移行した事業者に対しては、運輸安全マネジメントの実施を義務づけ、委託者と受託者が一体となった安全管理体制を構築する。また、業界団体を中心とした適正化事業(コンサルティング)を導入。過労運転防止のための交代運転者の配置基準を明確化、厳格化する。
 「貸切バスの安全性向上」に向けては、(1)参入時・参入後の安全性チェック(2)全事業者での安全優先経営の徹底(3)ビジネス環境の適正化・改善――の3項目で構成。
10月をメドに、新規許可時における法令試験の厳格化や運行管理者の雇用契約の確認、営業所と車庫などの施設設置状況の現地調査を徹底する。参入時に必要となる資金確保の基準のほか、損害賠償責任保険の対人賠償限度額を1人当たり8000万円から無制限に引き上げる。また、法令違反の疑いがある事業者に対して集中的な監査を実施。悪質な事業者の処分も厳格化する。
 全事業者での安全優先経営の徹底策として、運輸安全マネジメントの実施義務づけ対象を中小事業者へ拡大。全事業者に安全管理規程の作成・届け出、安全統括管理者の選任・届け出を義務づける。運行管理制度の強化や交替運転者の配置基準策定、デジタル式運行記録計・ドライブレコーダーによる運行管理体制の構築といった策も講じる。
 ビジネス環境の適正化・改善では、13年度末までに運賃・料金制度を改革。安全コストが運賃・料金に反映される新たな制度に移行するとともに、時間・キロ併用制運賃なども導入する。また、貨物自動車運送事業法の「荷主勧告制度」を差の九に、運賃・料金関係の法律違反の再発防止につながるような新制度を検討。新たな運賃・料金制度に対する発注者・利用者全般の理解を促すため、「貸切バス選定・利用ガイドライン」の改定・周知も行う。