自動車ニュース
年頭所感―兵庫県タクシー事業協同組合 理事長 枝松 七郎

「3つの気持ち」


兵庫県タクシー事業協同組合 理事長 枝松 七郎

新年を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。
平素は兵協の活動にご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

さて、昨年1月のタクシー新法(改正タクシー事業適正化・活性化法案)の施行により、過度の料金競争が緩和され、労働環境は幾分改善されて来たという期待がある一方で、活性化策を充実させるには至っておらず、個人客の利用は減少し、燃料費の高止まりなどと併せて、タクシー業界を取り巻く環境は、依然として厳しい状況に変わりはありません。引き続き地域で、そして各事業体で、活性化取り組みが求められているところです。

昨年は、次の3つの大きな変化が見られた年でした。

第1に外国人観光客の増大です。昨年、政府・民間企業一体となった外国人観光客誘致の施策、円安傾向の定着などにより、日本を訪れた外国人は1300万人を超えるとされております。そのうち、7〜8%に当たる約100万人の外国人が兵庫県を訪れたと言われています。タクシー業界としても英中韓の3ヵ国語で表記した「指さし外国語シート」(兵協では配布した乗務員マニュアルの末尾に掲載)により、お客さまと意思疎通を図る試みを始めています。引き続き、高成長を遂げるアジア等からの観光客は増えることが予想されます。語学堪能者の登用や無線LANの整備等のサービスを向上させている所もあるようですが、ぜひ、外国人のお客さまの気持ち(ハート)をつかんでください。旅行会社からの配車要請が増えることを目指すのも一策です。

第2に高齢化社会への対応です。高齢者や身障者の乗車に対し、車いすや介助などタクシー運転手もユニバーサル時代に応じた接客サービスが求められています。ユニバーサルデザインという考え方はますます重要性を帯びてきます。何よりもお客さまをいたわる優しい気持ちこそが大切なのです。増え続ける高齢者への接客サービスの向上で、それを自社の得意分野とすることも一策です。

第3にスマートフォンの活用などITへの対応です。顧客がスマホで指定した場所をGPSで確認し、配車する動きが始まっています。お客さまが指定する目的地までの最短距離での運行するサービスがすでに実現しています。スマホを操る若者の気持ちも学ばなくてはなりません。無線のデジタル化と併せて、タクシー事業も増々装置化、効率化、が進むものと思いますが、利用者の利便性と、利用者の気持ちを考えた対応は不可欠となって来ています。

このように従来にも増して、ワンランク上のお客さまの「気持ち」を理解することが大事な時代に突入しています。

タクシー業界にとって、こうした変化の時こそ、お客さまをゲットするチャンスなのです。3つの変化は、外国人、高齢者、若者の気持ちを理解すれば、必ずや好印象をもたれるでしょうし、独自の基本戦略を考える上で欠かすことの出来ない前提となっています。

今年度は新しい需要を喚起していくいことが問われる1年になると思います。
2020年の東京オリンッピックまであと5年余。3つの変化はさらに大きくなり、新しいサービスは、ローカル水準を超え世界標準に突入するでしょう。
これからは、大きな変化に対応したワンランク上の「おもてなし」をしてください。そして兵庫県・神戸市のタクシーは「ワンダフル!」と言われるように、今年1年のスタートを切りましょう。
最後に、今年も皆さまにとって、よい年になりますようにお祈りいたします。