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トヨタ、新素材SiCパワー半導体搭載カムリ等の公道走行を開始
トヨタは、SiC(Silicon Carbide)パワー半導体の実用化に向けた取り組みの一環として、ハイブリッド車(以下、HV)などのモーター駆動力を制御するパワーコントロールユニット(以下、PCU)に新素材SiCパワー半導体を搭載したカムリ(HV)の試作車を開発し、2月初めより約1年間、豊田市を中心に公道での走行試験を行う。

PCUは、走行時はバッテリーの電力をモーターに供給、減速時は回生した電力をバッテリーに充電するなど、HVなどの電力利用において重要な役割を担っている。そのPCUに使われているパワー半導体は、車両全体の電力損失の約20%を占めており、パワー半導体の高効率化、すなわち、電流を流す時の抵抗を低減することが燃費向上に不可欠となっている。

今回開発されたカムリの試作車は、PCU内の昇圧コンバーターおよびモーター制御用インバーターに、SiCパワー半導体(トランジスタ、ダイオード)を搭載している。
公道走行試験では、走行速度や走行パターン(高速走行、市街地走行、渋滞等)、外気温など様々な走行条件毎に、PCU内の電流、電圧などのデータを取得し、現状のシリコン半導体と比べ、新素材であるSiCパワー半導体搭載による燃費向上効果を検証する。

さらに、1月9日から、豊田市内の路線バス、「とよたおいでんバス(豊田東環状線)」として営業運行している燃料電池バス(FCバス)においても、FCスタックの電圧を制御するFC昇圧コンバーターにSiCダイオードを搭載しており、走行データを取得し、燃費向上効果を検証する。

なお、今回、カムリ試作車とFCバスに搭載したSiCパワー半導体は、国家プロジェクトの成果の一部である高品質なSiCウェーハ技術を採用している。

トヨタは、HVなど電動車両の燃費向上において、エンジンや空力性能などの改善はもとより、パワー半導体の高効率化も重要技術として位置づけており、新素材SiCパワー半導体の早期実用化に向けて、公道走行データを開発に反映していく考えだ。