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独コンチ、カーシェア向け仮想キーサービスでベルギー企業と協力 (2/3)
仮想キーの仕組み

OTA keysのシステムの中核となるのは、仮想スマートフォンキーです。これは、近距離無線通信NFC、もしくは、省エネ規格のBLE(Bluetooth Low Energy)を使用し、車両とスマートフォンの間でデータの送受信を行います。ドライバーはスマートフォンのアプリから、都合に合わせカーシェアリングを予約すると、OTA keys システムは偽造防止のため暗号化されたデータレコード(仮想キー)を携帯電話に送信します。

必要な車に対するアクセス権限を含む仮想キーは、スマートフォンのSIMカード内部に保存されます。NFCまたはBLE規格により、そのスマートフォンから車載リーダーにデータ(認証、車両および診断データ、ユーザープロファイル)が送信されます。車載リーダーは、車両のドアなどに組み込むことが可能で、エンジンを始動する前に、車内の別の受信機がスマートフォン内の仮想キーを認証し適合すると、エンジンを始動することができ、いつでも出発することができます。

カーディナルは、この新会社によって、異なるモビリティサービスのユーザーが車とやりとりする方法が変化することを確信しています。また同氏は、「車を扱う事業者に対して、車を便利で使いやすくするためのさまざまな方法を提供します。仮想スマートフォンキー経由で接続される『コネクテッド』バージョンは、最も先進的なサービス形態です。インテリジェントな接続性、セキュアなデータ伝送、および高性能バックエンドによって実現可能な例を表しています」と述べています。

1つのアプリがすばやく簡単に、新しいモビリティ概念を実現OTA keys は、必要となるデジタルインフラをお客様に提供します。フリート事業者やカーシェアリング会社各社の要件に合わせた、スマートフォン用のアプリも含んでいます。ユーザーは、そのアプリから、利用可能な車を検索、選択、さらには予約することができます。スマートフォンを使って車の場所を探すこともできます。OTA keys のサービスを利用し、予約なしで車をレンタルすることも可能です。その場合、携帯電話を空いている車のドアにかざすだけでサーバー上に仮想キーが自動的に生成され、車の空き状況が確認されると、仮想キーがスマートフォンに送信されます。プログラミングの内容によっては、仮想キーで解錠した後、ナビゲーションシステムへの切り替え前に、アプリから車両状態に関するデータを取得することも可能です。

OTA keys システムの有益性は既に実証されており、パイロットプロジェクトはフランス・トゥールーズで完了し、モナコのカーシェアリング用車両がOTA keys システムを既に使用しています。

より安価で、より安全に、そしてより実用的に: 仮想キーの使用例

多くのカーシェアリング用車両のシステムは、すべてのインテリジェンスを車両内に結集していますが、OTA keys のシステムはスマートフォンに搭載されたインテリジェンスを使用するため、車側で必要となるのはNFCまたはBLE技術のみで済みます。このアプローチには多くの利点があり、コストの大幅な削減がまずあげられます。仮想キーを使用すれば、車両ごとの投資を大幅に低減することが可能です。

OTA keys の仮想キーの2つ目の利点は、非常に高いセキュリティレベルです。携帯電話上に保存された「おサイフケータイ」機能と同等のデータ領域と原理で機能し、銀行の厳格な要件にも対応します。さらに、データは暗号化された形式で携帯電話と車両間でのみ同期します。このようなセキュリティ手順によってユーザーの利便性が損なわれることはなく、むしろ、このシステムをかつてないほど使いやすいものにしています。