自動車ニュース
富士通、文部科学大臣科学技術賞を受賞 (2/2)
[科学技術賞] 研究部門
この部門は、我が国の科学技術の発展などに寄与する可能性の高い独創的な研究または発明を行った人が対象です。

受賞者 : 今中佳彦(富士通研究所 デバイス&マテリアル研究所 主管研究員)
案件名 : 「エレクトロニクス実装用電子セラミック材料とプロセスの研究」
ウエアラブル電子機器の高性能化のため、折曲げ可能なフレキシブルな薄い樹脂シート上に膜状の受動素子を形成することが求められています。しかし、従来、受動素子の構成材料であるセラミックスは製造プロセス温度が高く、脆いため、このような受動素子の機能を有するセラミック膜を樹脂シート中に組み込むことが困難でした。本研究では、セラミックスの表面凝集エネルギーを高めたナノ粒子を中間原料に用いることで、樹脂の耐熱温度以下、かつ金属の融点以下で結晶性に優れた電子セラミック結晶膜を形成する手法を見出し、その膜形成のメカニズムも解明しました。これにより、セラミック膜にドライエッチングおよび化学エッチングによる微細孔加工技術および多層化プロセスを導入することが可能となり、従来困難であった銅を内部配線とした多層セラミック構造を低温で形成できるようになりました。さらに、膜内部のナノ複合構造を制御することで、多層構造中の樹脂・セラミックス・金属の界面で高い信頼性が得られることも明らかにしました。これらの成果により、電子機器のウエアラブル化・薄型化・高性能化のほか、実装コストの低減・環境負荷の低減に寄与することが期待されています。