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NTN、「後輪独立転舵システム」を改良しより小型に
NTNは5月20日、操舵システムの電子制御を可能にするステアバイワイヤ操舵システムの技術を応用した「後輪独立転舵システム」の構造を改良し、より優れた応答性能と小型軽量化を実現して発表しました。

NTNによると「自動車の後輪転舵は、高速走行時における車両安定や、中・低速走行時のコーナリング性能を向上させる機構で、後輪転舵の駆動には、電動アクチュエータが用いられます。1つのアクチュエータで転舵する『左右一体型』は左右トー角独立制御の機能がなく、左右それぞれにアクチュエータを配置して転舵を行う『左右独立型』は、ばね下重量の増加による走行性能の低下が課題」とのことでした。

NTNの「後輪独立転舵システム」は、左右一体型でありながら左右トー角独立制御が可能で、アクチュエータを車両側に設置することで、ばね下重量の増加もありません。さらに、今回の開発品はタイヤの最大転舵速度を10度/秒(従来品:6度/秒)に向上させ、高速走行時や緊急回避を必要とする場面などにおいて、車両挙動の応答性能を改善しました。また、タイヤの最大転舵角を±2.5度*3と広い転舵領域を実現したことで、最小回転半径が小さくなり、駐車時などの運転負荷軽減や将来の自動運転技術にも寄与することが期待できます。さらに、従来品と同等の剛性を維持しつつ、体積を約60%削減することで、質量も約30%の軽量化を達成し、車両への搭載性を向上させました。加えて、開発品は左右一体の駆動方式で車両側に設置するため、ばね下重量の増加がなく、乗り心地への影響がないとしています。

NTNは、本システムを5月20日〜22日にパシフィコ横浜で開催される、「人とくるまのテクノロジー展2015」に出展します。NTNは「今後も自動車の電動化、燃費向上、走行性能向上に寄与するモジュール商品の開発強化を進めます。また建設機械や農業機械などの産業機械分野への適用も視野に入れた提案をしてまいります。」としています。