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新日鉄住金、北米で自動車用高成形性超ハイテンの製造を推進
新日鐵住金は5月25日、ArcelorMittal社(本社:ルクセンブルグ、以下、「AM」)との合弁の米国鋼板製造・販売拠点である、AM/NS Calvert社(本社:米国、CEO: Chris Richards)において、自動車の骨格部品に適用可能な、高い成形性と1.2GPa(ギガパスカル)級までの強度を併せ持つ、高成形性高張力冷延及びめっき鋼板(以下、「高成形性超ハイテン(*)」)の製造対策を、2016年末を目途に実施すると発表しました。

AM/NS Calvert社では、既存設備で1.2GPa級までのハイテンが製造可能です。これに加え、今回の対策により、現在当社が日本国内のみで製造している、成形性を更に高めた超ハイテンを、初めて海外で製造することが可能となり、当社の自動車用高級鋼板のグローバル供給体制がより充実することとなるとしています。

今回の発表の背景には、米国における当社とAM社との既存自動車鋼板製造拠点であるI/N Tek社・I/N Kote社ではハイテンの製造可能品目が限られていることがあります。また一方で、北米に製造拠点のある自動車各社においては、更なる車体軽量化や衝突安全性の向上ニーズが高まっており、強度と成形性等の各種特性を高い次元で両立させた高成形性超ハイテンの、北米での製造体制の整備が、需要家側からも望まれていました。

今後、AM/NS Calvert社において、高成形性超ハイテンに必要な微細金属組織の最適化を実現する当社技術やプロセスを導入し、高成形性超ハイテンの製造体制を、2016年末を目途に確立する予定です。

(*)高成形性超ハイテン;
・ハイテンとは、High Tensile Strength Steel(高張力鋼板)の略称で、引張強度の保証値が340mpa以上の鋼板の総称。ハイテンの中で、強度と成形性等各種特性を高い次元で両立させたものを高成形性超ハイテンと呼称。1.2GPa級高成形性超ハイテンは、引張強度の保証値が1180MPa以上で、2ランク低い強度レベルの780Mpa級と同等程度の成形性を有している。