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国土交通省神戸運輸監理部_平成27年度の重点的取組事項
神戸運輸監理部(安藤昇部長)は5月12日、同部会議室で幹部職員の紹介を兼ね、平成27年度記者会見を行い、重点取り組み事項を説明した。
 
冒頭、安藤部長から業務全般における今年度の主な取り組みについて次のとおり報告があった。

「今年度の重点的取り組みについて、基本的な考えを紹介する。県下の経済情勢は緩やかに回復している。現況と前提となる考えについて説明する。今後の回復に期待する。観光分野は人口減少社会を迎えたわが国の成長エンジンとして期待されている。自治体やほかの運輸局と連携しつつ、神戸港の賑わいつくりや瀬戸内観光振興など、海事関連を中心に積極的に取り組んでいきたい。防災危機管理分野では、南海トラフ自身への対応が迫られている中で、被災経験を生かしつつ事前の啓発活動や体制の整備に努めたい。内航海運については、消費増税の影響も和らぎつつある。高い有効求人倍率への対応に注力していく。外航フェリー・旅客船は旅客、自動車輸送とも前年度を下回る。神戸港の遊覧船等も同様である。ただし、直近のゴールデン・ウィークは天候に恵まれ休み日の並びも良かったことから好調だった。観光振興を通して業者への側面支援をしていく。離島補助航路の存続についても自治体と連携して対応策を協議していきたい。外航海運の分野では、日本籍船へのフラッグバックを円滑に進めるために、外国人船員への船員手帳発給に的確に取り組む。造船・舶用工業の動向については、円安・省エネ技術への再評価で当面の仕事量に不安はない。 兵庫県は舶用工業生産高で全国の1/4程度獲得しており、きわめて重要。造船・舶用工業は、地盤の経済を支えており、地方総生への貢献度も高い産業分野である。人材確保対策やイノベーションに注力する。港湾輸送・倉庫の分野では地域の海事セメスターの更なる発展のお手伝いをしていきたい。昨年の神戸港のコンテナ取扱量は3年ぶりに前年を上回る。円安、国際コンテナ戦略港湾政策の成果が徐々に現れる。自治体と連携して支援に努めたい。海上安全確保事業では継続の前提となる安全安心の確保について、引き続き着実に取り組んでいく。海事思想の普及について、今年は海の日制定から20年であり、世界海の日もあることから、関連イベントを日本各地で開く。海事の人材確保につながるよう、広く海事思想の普及に努める。自動車分野に関しては、交通政策基本計画に基づき地域交通ネットワークの再構築の課題や人材確保に取り組んでいく。兵庫県内の海事産業集積度は、大震災以後も依然として国内有数である。地域の海事クラスターの更なる発展の手伝いをさせていただく。自動車分野も含めて地域活性化の取組を行う。海事分野は国民への認知が足りていないところがあるので、業務内容を対外的にアピールしていきたい」

また担当部長からも各分野の取り組みについて説明があった。

加藤栄企画推進本部長は「港町神戸の魅力発信にむけた取組を推進していきたい。神戸への観光客は増加しているが、観光船の輸送実績の増加につながっていない。阪神高速効果や国道2号線の手目に動線がわかりにくく回遊性が不足している。リピーターを増やしたい。エリア内での回遊性確保が必要である。集客施設のコンテンツ内容周知も行いたい。本年の取組ではカップル層の集客とリピーター化を進めたい。ロマンティックコンテンツ等のホームページやフェースブックを使った情報発信に努める。ロマンティックをキーワードとするイベントの開催をした     い。」「瀬戸内海沿岸の観光客は必ずしも多いわけではない。どう集客に結び付けていくのか。クルーズ客船の誘致を進めている。そのためにエリア全体で連携した取組が必要である。クルーズ客船寄港地マップ。港のハード面のスペック受け入れ態勢観光地の紹介をホームページで発信する」

村松智司海事振興部長は離島航路の確保維持に向けた取組について説明した。「県内離島(沼島・家島等)の人口減少に伴い乗船客が減少し、一部航路では経営が困難になっている。沼島路では協議会を設置して、既に改善に向けた取組を積み重ねてきた。家島〜坊勢島航路では分科会を設け、実態調査を行う。」また造船・舶用産業の人材確保の現状についても述べた。「内航海運では著しい船員の高齢化がおきている。船員不足が顕在化し、船舶の運航への影響が出ている。造船・舶用工業では過去の不況の影響で、中堅技能者の比率が低い。人材不足も顕在化している。産学官連携でも船員の確保・育成のための取組が効果を発揮しているとはいえない状況である。造船・舶用業界では業界として技能を伝承していかなければならない。労働力の確保も必須。現在でも神戸運輸監理部とハローワークとで連携して船員求人の掲示、船員求職の取次、船員確保PRなどを行っている。これに加えて、今後は連携を強化し、管理部の職員や事業者が説明会に足を運ぶ。高校生を対象とした見学会も実施する。教育委員会との連携も強める。造船・舶用工業における人材確保のために、外国人就労者の受け入れを始める。マリンエキスパート表彰制度の活用し、高度な技術を持っているのに日ごろ注目されない方を表彰していく」

田中暁海上安全環境部長は「南海トラフ巨大地震発生時には兵庫県においても大きな被害が予想されている。船舶は緊急輸送活動への従事など社会的にも重要だ。人が助かるための現実的な避難プランが必要である。昨年度までには、全国に先駆けて旅客輸送に関するマニュアルを策定した。今年度は図上訓練を実施することを検討している。また、大阪湾・播磨湾は船舶通行量が日本一で、海難事故も続いている。海上安全環境部としては、ハード・ソフト両面の事前・事後チェックを行う」

大塚啓司兵庫陸運部長は「自動車整備要員は、近い将来人材不足が顕在化する恐れがある。事業者も人員不足を懸念しているが、整備業界は中小企業が多く、業界を挙げての大規模な採用活動が困難。整備要員の不足は交通社会の安全な運営に支障をきたす。陸運部長等が県下高等学校を訪問し、学校長に対して直接説明した。車検場の様子を公開するなど、自動車整備士という職業に興味を持ってもらうための取組を今後も続けていく」