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NEDO、再生可能エネルギーの新たな開発に着手
国立研究法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、略称NEDOは6月26日、再生可能エネルギーの更なる連携拡大のため、新たな開発に着手したと発表しました。

天候によって出力が変動する風力発電や太陽光発電等の再生可能エネルギーは、大きな出力変動によって電力の安定供給に悪影響を及ぼす可能性があるため、出力変動を予測するなどの電力系統の安定運用に資する取り組みが重要です。NEDOが2014年度から取り組んでいる「電力系統出力変動対応技術研究開発事業」(2014〜2018年度)では、風力発電をはじめとする再生可能エネルギーを最大限電力系統に連系するため、出力変動に対応した電力系統に関する研究開発を行っています。

再生可能エネルギー固定価格買取制度の省令改正(2015年1月)により、今後新たに系統連系する風力発電と太陽光発電の事業者に遠隔出力制御システムの導入が義務付けられましたが、通信方式の標準化や事業者側の設置する装置の規格化はされておらず、システムの標準化と低コストでの実用化が求められています。

このような背景を受け、NEDOはこのプロジェクトの新たな研究開発テーマの一つとして、大小さまざまな規模の風力発電設備に対して通信回線を用いた出力制御を可能とする遠隔出力制御システムの開発に着手します。事業期間は、2015年度から2018年度までの4年間です。
具体的には、再生可能エネルギーの出力予測高度化に向けたモニタリングシステム構築、遠隔出力制御システム全体最適化に関する研究、系統運用機関の遠隔出力制御システムの開発等により、出力制御量が最適となるようなきめ細やかな出力制御手法を開発し、実際の電力系統において、開発した成果の検証を行うことで再生可能エネルギーの連系拡大を目指すとのことです。

【1】自然変動電源の出力制御に向けた出力予測・把握技術の高度化
東北地域において本研究開発に資する大小さまざまな規模の風力発電設備を選定し、発電出力のモニタリングシステムを構築します。また、風力発電と同じ自然変動電源である太陽光発電設備についても日射量のモニタリングシステムを整備します。
上記モニタリングシステムで取得したデータを用いて、風力発電および太陽光発電の出力変動状況を把握・分析し、きめ細やかな出力制御(時間単位、地域単位等)を実現するための出力予測技術の高度化を実施します。

【2】自然変動電源の出力制御装置の標準化、低コスト化
風力発電設備における出力制御装置・通信方式の標準化を、太陽光発電の遠隔出力制御システムの仕様を踏まえながら検討します。また、低コストで双方向通信可能なCDT(サイクリックデジタル伝送)通信装置や風力発電機への影響を考慮したPCS(パワーコンディショナー)等の出力制御装置の開発を行い、最適な全体システム構成を検討します。

【3】自然変動電源の出力制御方式の高度化および最適化
風力発電設備等の自然変動電源の定格出力等を考慮し、公平性を保てる出力制御量の配分決定方法の研究を行います。コストや通信信頼度の両面を考慮したうえで、通信方式に応じた最適な出力制御方式を開発します。また、国の審議会等での検討状況を踏まえ、配信事業者システムの要件や仕様等を検討し、配信事業者を活用した出力制御の効果について検討します。

【4】遠隔出力制御システムの開発・検証
中央給電指令所や制御所などからの最適制御方式について検討し、風力発電および太陽光発電の遠隔出力制御システムを開発し、中央給電指令所からの制御指令による検証を実施します。

【委託予定先】
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社、東北電力株式会社、通研電気工業株式会社、国立大学法人東北大学