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兵庫県バス協会 平成27年度通常総会
 兵庫バス協会(長尾真会長)は6月12日、楠会館にて平成27年度通常総会を開催し、平成26年度事業報告、同26年度公益目的支出計画報告、同26年度収支計算書ならびに平成27年度事業計画、同収支予算書について審議し、いずれも原案通り承認された。

 また任期満了に伴う役員改選が行われ、新たに有川康裕(尼崎市交通局)、加藤友彦(淡路交通)、増田平(伊丹市交通局)、成川邦彦(扇交通)、野々下恵介(神戸市交通局)、木村俊紀(山陽バス)、長尾真(神姫バス)、中尾浩(神鉄バス)、桐山徹郎(全但バス)、宇都宮道夫(西日本ジェイアールバス)、林健二(日本交通)、寺田信彦(阪急バス)、福浦秀哉(阪神バス)、宇高昌利(兵庫中央バス)の各氏が理事に就任した。また専務に中沢秀明(公益社団法人兵庫県バス協会)、監事に寺田章彦(帝産観光バス)、柳内国拡(兵庫県交通共済協同組合)の各氏が就任した。また、前会長である上杉雅彦氏(神姫バス)は日本バス協会の会長に就任することが確実となり退任、新たに顧問に就任した。その後の臨時理事会で長尾真氏が新会長に選任された。
 
 総会冒頭挨拶で上杉会長は最近の業界動向について「乗合バス関係では、平成25年末に交通政策基本法が制定され、翌年の5月には関連する地域公共交通の活性化、再生法が成立、更に本年2月に交通政策基本計画が閣議決定され、乗合バス再生のシナリオがはっきりと見えてきました。しかしながら、3大都市圏と地方部での事離はまだまだ大きく引き続き、きめ細かい経営努力が必要であります。又、高速バスでは長年の懸案であった高速バスと高速ツアーバスが平成25年8月に新高速バスとして一元化され、大概順調に推移しております。更に貸切バス部門においては、長年形骸化した運賃制度により、苦しい経営を強いられてきましたが、実質平成27年4月から新運賃に移行して、大概新運賃制度へ移行し、経営の安定化が図れる目途が立ちつつあります。一方、今国をあげて地方創生に取り組みを開始されており、私共バス事業者にとって大きなビジネスチャンスが到来すると見ております。
 
 次に話は少し変わりますが、来る6月 16日の日本バス協会定時総会で私が日本バス協会の会長に選任される予定となっております。このため平成 14年6月に兵庫県バス協会に就任して以来、会員の皆様には大変お世話になってきましたが、本日をもって退任させていただきます。引き続き顧問として兵庫県内のバス事業者の実態をしっかりと把握した上で中央での活動をしていきたいと考えております。なお、私の後任には、去る5月22日の兵庫県バス協会の臨時理事会において、神姫バス社長の長尾真氏を会長候補に推薦しております。
最後になりますが、市民の足としての乗合バス、また観光産業における貸切バスの重要性は変わりません。安全という土台をより強固なものとし、お客様から県内のバスは、どこも『安全・安心』と言ってもらえる会社を目指して、継続して努力していただくことをお願いします」と述べて、地方バスの活性を中央の活動に生かすと決意を込めた。
 
 新会長に就任した長屋氏は「前会長は、事業者のリードをしていただきましたことを改めて御礼申し上げます。今後は日本バス協会の会長としてより高いところから事業者をリードしていただきたいと思いますし、また兵庫県の事業者はダイレクトに中央とのパイプができるということで、ご活躍に期待しております。この兵庫県のバス業界から日本バス協会の会長を送り出すということにつきましては、本当に喜ばしいことだと思います。日本バス協会の会長はかつては政治家の方が務めておられました。一時期は長崎の会社様の方が、しかしほとんどが関東の会社様です。この度はじめて関西、また兵庫から送り出せるということを本当に誇りに思っております。また、兵庫から出ていただくということで地元でありますこの兵庫県が率先してこの業界を盛り上げていかなければならないと思っております。そのために皆様方に3つのお願いがございます。まず一点目は、日頃の運行管理、安全管理はしっかり行っていただいて、重大事故、死亡事故、また不祥事がないようにお願いしたいと思っております。二つ目は、日本バス協会の方針、施策にぶれずに、少し地域色を出して頑張って行きたいと思っております。三つ目は、先進的な事例はまず兵庫からという気概をもって取組んでいただきたいと思います。現在バス業界は大きな変化の中にあります。乗合、貸切と念願の運賃が整備され、経営改善を図れるチャンスを迎えております。我々の努力によって健全な経営を図っていくということが我々の責務だと思っております。皆様と足並みを揃えて取組んで行きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。まだまだ未熟ですが、なんとか新会長という重責を務めたいと思いますので、今後ともご支援、ご協力いただきますようお願いします」と決意を述べた。
 
 来客あいさつで、近畿運輸局の阿部竜矢自動車交通部長は「本日の総会で長尾新会長が誕生されたと伺いました。大変お喜びを申し上げたいと思います。新会長におかれましては、地域交通、バス交通大変厳しい状況ではございますが、今後バス協会を牽引していただきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。上杉前会長におかれましてはこの13年間兵庫のみならず日本のバス業界を牽引していただきました。深く感謝申し上げたいと思います。今後はより大きなお立場でバス業界を引っ張っていただけると思っておりますので今後ともよろしくお願いいたします。
 
 安倍内閣の最重要課題のひとつが地方創生でございます。予算措置として新しい交付金が地方に交付されています。活用に向けて自治体などと連携していただきたいと思っています。国土交通省の考え方として地方創生はコンパクトプラスネットワークを提案しています。ネットワークを支えるのが地域交通、特にバスであり、その点で地方創生の重要なパーツがバスです。うまく活用していただきたいと思います。交通政策基本法が定まりましたし、これを実践していくステージになっています。ここ兵庫県、関係者自治体を中心とした連携がかなり実績があがっています。

 近年の明るい話題として訪日外国人旅行者の急激な増加が挙げられます。昨年は1300万人を越えたということですが、今年はそれをはるかに上回るペースで増えているわけでございます。これを交通行政にいかに取り込んでいくかということが大きなテーマかと思います。当然国内を移動する外国人の方、バスを利用することがあると思います。ぜひそのような需要を取り込んでより一層のご尽力をお願いしたいと思います。受け入れ体制の整備として多言語表示など、それ以上にフリーハイグレードなサービスの提供といった取り組みがあると思いますので、行政としてもご支援していきたいと思いますし、2000万人目指して一緒にがんばっていきたいと思っているところでございます。

 また貸切バスについてですが、いよいよ新しい運賃制度が運用されるところでございます。この新運賃制度をいかに定着させていくか、それを通じて貸切バス全体の健全化を図っていくことが重要な課題でございます。行政としても幅広い関係者への周知活動を一生懸命やっていくつもりでございますが、まずは新運賃制度をしっかり守っていただき、こういった適正な運賃が必要だと世の中の人に納得してもらう努力をしていただきたいと思います。

 もうひとつバス産業の大きな課題は労働力不足問題です。運転者の不足が非常に深刻な問題です。昨年国土交通省ではこれを改善するアクションプランをつくり対策を行っているところでございますが、運輸局のほうでも皆さん業界の方との協議会をつくり意見を聞いたりしているところでございます。行政としてやってこなかった分野ですので、ご協力をよろしくお願いいたします。

 安全安心が交通産業の課題、要点でございます。不断の努力が必要となりますので今後ともよろしくお願いいたします。」と語った。