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大阪市域、特定地域指定についての公聴会
運輸審議会(上野文雄会長)は9月11日、大阪合同庁舎第4号館にて大阪市域交通圏の一般常用旅客自動車運送事業に係る特定地域指定についての公聴会を開催した。

一般公述人として、10人の関係者がそれぞれ公述を行った。三野文男・商都交通株式会社代表取締役は「タクシーは規制緩和により新規参入や増車が進み、供給過剰と過度な運賃競争が起こり、事業者の経営環境や運転者の労働環境が悪化し、安全や良好なサービスといった利用者利便が損なわれました。公共の福祉を担っているドア・ツー・ドアの便利な地域公共交通機関として、さらなる安全・安心・快適な輸送を利用者に提供するためにも、特定地域に指定していただき、闊達な議論を行っていきたい」と賛成意見を述べた。

坂本栄二・日本タクシー株式会社代表取締役も賛成の立場から、「タクシー乗務員の年収の低さや、平均年齢が60歳という労働条件を改善する必要があり、そのためには供給過剰の是正を図り日車営収の改善を実現させる事が急務となっています。規制緩和で壊れてしまった業界の再生のためにも、特定地域の指定をうけ、適正化・活性化の議論をしていかなければなりません」と述べた。

10人の公述人のうち7人と特定地域指定に賛成する意見が多数を占める中、青木義明・大阪エムケイ株式会社代表取締役は「収益が上がらないから行う、ドライバーの賃金を向上させるために行うというような減車強制は、営業の自由や財産権を保障した憲法に違反する可能性が高く、また資本主義の基本に反します。また実働率の高い事業者の強制減車は従業員の解雇につながり、供給を削減することは利用者の利便性を低下させます。タクシー利用者を中心として特定地域指定に反対する署名が多数集まっているので審議の参考にしてください」と反対の意を表明した。

阿部泰隆・弁護士は「車両台数の調整が事故減少、労働条件改善につながるわけもなく、利用者の利便は図られません。憲法22条で保証されているタクシー営業を制限する合理性・必要性がなく違憲です。また供給過剰の基準を規制緩和前とすることは、営業の自由と競争を保障している憲法の下では基本的に間違っており、供給過剰は過当競争で赤字倒産が続出するといった状況事態に限定すべきです。そのような事態は大阪市域交通圏では発生していないので、そもそも特定地域の指定の要件を満たしていません」と反対の立場に立った。

最後に国交省を代表して鶴田浩久・自動車局旅客課長は「国交省としては、この法律を適切に運用して、タクシー業の適正化・活性化を進めることによって供給過剰の解消を図って運転者の労働環境の改善を通じてタクシーの安全性・利便性を向上させることを実現したいと考えています。大阪市域交通圏の特定地域の指定につきまして引き続きご審議いただきたいと思います」と指定への理解を求めた。