自動車ニュース
第9回自動車事故防止セミナー
近畿運輸局(天谷直昭局長)は1月19日、大阪市中央区のドーンセンターで第9回自動車事故防止セミナーを開催した。

天谷局長は「去る1月15日に、長野県軽井沢町国道18号線で、スキーツアーのバスが道路からはみ出して転落し15名の方が亡くなる事故があった。大変痛ましい。心よりご冥福をお祈りし、 ケガをされた方々の一日も早い回復を願う。『交通の安全を確保し安心して利用してもらう』ことに交通事故対策の根幹がある。一層安全の意識を強め、その重要性を肝に銘じる必要がある。昨年の交通事故死者数は4117人で、これは対前年比4人増となった。15年ぶりの増加である。近畿では621名で80名増である。死者数全体のうち65歳以上の高齢者が占める割合は5割以上と高い水準で推移している。大阪府下では信号無視や飲酒運転の悪質運転が増えて、 その結果53名増なった。近畿運輸局では、『近畿グリーンナンバーセイフティプラン2010 』と題して平成31年度の事故死者数・人身事故件数半減を目指しているが、平成26年まで一度も未だ目標を達成できていない。一層の対策が必要だ。平成24年関越道でのバス事故をきっかけに高速貸切バスの安全安心回復プラン 平成26年の北陸道高速乗合バスの事故を受けた事業用自動車運転者健康管理マニュアルの改訂や、タクシー運転者登録制度を全国に拡大したり、試験に輸送の安全といった項目を追加したり、トラックについては、長時間労働の抑制といった重大事故につながる労働環境の改善をしたりしている。しかし、交通事故が多発している現状を鑑みれば、これで十分といったことは無い。さまざまな対策を決めて実行に移さないといけない。安全の意識を管理者から現場まで持ち続ける。『事故の特徴に対する有効な事故防止対策』というテーマ 事業用自動車事故調査委員会 事故調査を実施し有効な事故再発防止策を提言することとなった。皆様に一つでも多くのものを持ち帰っていただき、安全運行に役立てていただきたい。安全は経営者から現場の一人ひとりの意識の問題で、経営者にとっては安全が失われることが経営の最大のリスクであると今一度認識していただきたい」と防止推進に一層の協力をもとめた。

講演は、酒井雅彦・近畿運輸局自動車技術安全部長が「事業用自動車の事故防止対策」について述べた。酒井氏は安全プラン2009についての目標達成の中間経過についてとその見直しと新たな追加施策の7項目を説明した。

安部誠治・関西大学社会安全学部教授は「自動車事故調の提言〜事業用自動車事故の防止と減災〜」と題して講演。安部氏は「太平洋戦争等の310万人全員の犠牲者を除き、1946〜2014年まで交通事故死者は62万7千人でその比率が高い。また、タクシーの事故件数は高止まりで推移、バスは減少傾向、トラックの死者は376人(2013年)と多く、安全対策の課題である」とした。また2014年6月に発足した事業用自動車事故調査委員会が公表した6件の調査結果について分析して、いずれも運行管理者の役割が極めて重要とした。衝突被害軽減ブレーキの導入、過労運転防止に資する機器の開発、普及も提言した。浦部勝弘・近畿運輸局自動車技術安全部保安・環境課自動車事故調査分析官が「近畿運輸局の事故調査結果」について講演し、事故調査結果と分析について報告した。

また事業者の取り組み防止事例について、安川孝之・京都バス(株)運輸部次長が「ドライブレコーダーを活用した事故防止の取組み」について、越野泰弘・越野運送(株)代表取締役が「永続する企業への布石」と題して、安全教育サイクルによる無事故継続への取組みについて述べた。参加者約400人。