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第16回東阪神タクシー協同組合優良運転者表彰式行われる
東阪神タクシー協同組合(五十嵐一俊理事長)は2月29日、尼崎市中小企業センターで第16回(平成27年度)優良運転者表彰式を開き、長尾正美氏(立花神姫タクシー)ら16社63名の乗務員を表彰した。

五十嵐理事長は式辞で、「今年の干支は申である。申年は、株式用語では『騒ぐ年』という意味だ。確かにこのところ、株価は乱高下を続けており、この2月半ばには円高ドル安・株安となった。我が国の先行きがどのようになるのか見当もつかない。こんな中で、安倍政権は『地方創生』と名付けて、ウーバーやライドシェアを政策の目玉に据えようとしている。これらのいわゆる白タクは、安全面で責任の所在が明確ではなく、安心・安全を要とする公共交通としての資質に疑問がある。しかし、この一連の流れで我々タクシー事業者が反省すべき点は、お客様の中にも品質よりも値段を重視する向きに同調する考えが出始めていることだ。タクシー業界はもはや今までの業態での生き残りは不可能で、これからは大きく変革しなければならないと考える。我々は、タクシーこそが安心・安全で、運転者の接遇が良く、ドア・ツー・ドアで便利であることから、乗り物はタクシーが一番良いとお客様に認めていただかなければならない。そのためにも経営者が会社の先頭に立って接遇教育をし、乗務員と一致協力して、白タクが容認されようとしている現状を一心不乱に挽回しなければ、今あるタクシー業界の姿がなくなってしまうことは容易に推測できる。タクシー業界の未来は乗務員の皆様の一挙手一投足にかかっているといっても過言ではない。タクシー業界の慢性的乗員不足には大きな不安を抱えている。この問題はタクシー業界だけではない。先般、長野県でスキーバスが事故を起こし、多くの若い命が失われた。この事故の本質的原因は、平成14年までに断行された高速バス事業の規制緩和による過当競争だと推測している。お客様は、事業者を信頼して、ご自身の命を我々に託されていることを忘れてはならない」と事業者らを戒めた。

稲村和美・尼崎市長は、来賓祝辞で「安全運転の徹底は街づくりにおいても非常に有用である。今後ともタクシー乗務員の模範であられることを望む。昨年暮れからは市制100周年のステッカーを車両に掲示いただくなどして、周知活動にご協力いただいた。大変嬉しい。タクシー乗務員とは、地域の地理や歴史に精通していなければ、務まらない職業だ。タクシー乗務員の皆様方には、地域の情報通として、今後ともご活躍いただきたい。地域密着のサービスというのは、一朝一夕にできるものではない。今後も求められるサービスだ。タクシー事業者の皆様には、事業環境の変化にも負けずに、今後とも頑張っていただきたい」と述べ、タクシー事業者を激励した。

大塚啓次・兵庫陸運部長は「タクシー事業の使命は安心・安全・確実であることだ。利用者にとっては安心・安全で、気持ちよく乗れることが常に一番大切である。利用者のためにも安心・安全のためにコンプライアンスを含めたしっかりとしたご対応をお願いする」と述べた。

松本法昭・兵庫県尼崎北警察署署長は「タクシー事業の大変さは関係者の方々からよく伺っている。過酷な勤務にも耐えてサービスを提供してくださる皆様には、尊敬の念を禁じえない。高い職業倫理観の賜物である。タクシー乗務員の皆様には、犯罪捜査においてもご協力いただいている。我々警察が初動捜査においてまず頼りにするのが、現場を通りがかったタクシー乗務員の証言だ。このように、タクシー事業者の皆様は、安心・安全な輸送サービスの提供はもちろん、様々な形で地域の安心・安全に貢献していただいている。今後とも地域のためにご協力いただきたい」と述べ、タクシー事業者らへ感謝の気持ちを示した。

最後に受賞者を代表して、細川誠司氏(和光タクシー)が謝辞。「私の無事故無違反は運に助けられただけ。先輩のご指導あってのことだ。タクシーは、利用されるお客様が多様であり、乗務員マニュアル通りには行かない。自分なりに工夫して、心のこもった接客サービスを今後とも提供していく」と述べ閉式となった。