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三野文男氏、会長続投へ
大阪タクシー協会(三野文男会長)は6月17日、帝国ホテルで第36回定時総会を開催し、平成27年度事業報告、同財務諸表報告、公益目的支出計画実施報告、定款の一部変更を原案どおり承認した。

会長挨拶で三野氏は「ウーバーが国家戦略特区制度を利用して白タクを広めようと画策している。これに対して全タク連・労組団体が共同して食い止めた。楽天の三木谷社長が新経済連盟を後ろ盾として、シェアリングエコノミーこそが日本経済再生のための政策だとして白タク合法化を要望している。シェアリングエコノミーは政権の成長戦略の中心に位置づけられることは避けられない。これに対してライドシェア対策特別委員会を全タク連に組織した。サービス水準の向上を図り、付け入る隙を与えないことが肝心。運賃改定については、運賃改定要請を3月30日に開示した。6月16日現在では台数比率で31.6%であり、3カ月内の70%達成は厳しい状況にある。消費税増税が延期され、利用者の負担感も減る。大阪は府下全域が一つの運賃ブロックであり基本運賃も一つであるが、大阪市域とそれ以外の地域との利害を調整しながら、大阪市域のみ初乗り短縮が可能である。未だに改定要請書を出していない皆さまには参考にしていただきたい。最後に、協会経理の不祥事に関して、臨時・定例の理事会で厳しく追求する意見もあったが、先人が築いてきた協会を守りぬくことが利用者へ安心・安全を届けることにつながる。不祥事が発生した原因は、経理義務を一人の職員に任せ、管理上のチェックを怠っていたこと。横領金確定のための追求、決算書案の作成、事件発生の直接原因の除去、関係官庁への報告と指導依頼、当該人の刑事告訴と懲戒解雇、報道陣への発表、横領金の弁済措置、当面の資金繰りの確保を初期対応とした。それが完了した6月10日、事件に対する執行部としての責任を取り会長・副会長・専務理事は辞任した。後任者が新たに選ばれるまでそれぞれの職務を全うしていく所存。資金繰りについては、本年末までの収入予定額と支払い予定額の積算をした。2千万円の投入が必要と判断し、会長・副会長・専務理事によって用立てした。職員を補充することなく、職務分担によりまかなうことにする。常勤役員報酬の一部返上を行っている。事件の原因究明と再発防止策の提言をする委員会を設置した」と振り返った。

議事においても、協会費等横領事件が特別報告として行われた。当面の対策として、銀行印を専務理事が管理、ネットバンキングの暗証番号も変更された。この事件に関して理事からは「何の責任をとって辞任したのか」「金額として会長はどこまで責任をとるのか」など厳しい追求が噴出。一般会員からも「怒り心頭。こちらはきちんと協会費を収めている。執行部だけでなく理事にも責任があるのでは」などと意見が飛び交った。

その後役員選定理事会が開催された。計45名の理事候補者の会議の結果、三野文男氏(商都交通株式会社)が会長に再選された。なお、他の役員については次回の理事会へ持ち越しとなった。

三野会長は「30分前までまた会長に就任することは予定していなかった。会長を退いても、在任中のことは責任を果たすと申し上げた。会長として責任を果たせということで、誠心誠意タクシー協会の運営に努めていきたい」と、会長としての意気込みを語った。