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「地域交通網の構築と貸切運賃収受」
兵庫県バス協会(長尾真会長)は6月14日、楠公会館で平成28年度通常総会を開き、平成27年度決算、同28年度事業計画、予算を原案どおり承認した。

会長挨拶で長尾氏は「乗合バス事業の活性化・再生法で地域交通網計画策定に取り組まれているかと思うが、今年はさらに数多く活発となる。従来のコミバス、補助路線の議論でなく地域活性化、交流人口の増加に対するバス全体のネットワーク作りがもとめられる。地域の他産業と協力して自治体に積極的な働きかけをお願いしたい。次に貸切バス事業は、6月3日国交省より今年1月発生の軽井沢スキーバス事故を踏まえ、再発防止のため5項目の対策が発表された。主な内容を見ると事業の更新制の導入(5年ごと)、ドラレコ導入義務化と指導、ASV(先進安全自動車)の促進、運行管理体制罰則の強化も入っている。一方、我々がもとめた新規参入時の最低車両数の引き上げや、車両年式ハードルは見送りとなり、また旅行業者への行政処分等は今後の検討となり尻切れトンボである。さらに協会としては事業者への巡回指導の負担、非会員への監査費用の徴収も生じる可能性がある。いずれも平成29年春実施となる。貸切バスの新運賃で少し余裕もあると思うが、確実な収受がもとめられ、一部の事業者には旅行業者に(8%とか)高い手数料を払うとも聞くが、今夏には、国交省に違法運賃通報窓口もできる。政府は4千万人のインバウンド目標を打ち出し、貸切は売り手市場となろう。しかし新運賃は安全確保のものです。安全こそがバス事業の根幹です。運転者不足、労働環境改善、乗務員の健康管理など重要課題は山積しております。燃料も少し安くなり収支改善が見られるこの時期にこそ、次の手を打つ時です。皆さまのご英断と踏ん張りに期待致します」と結んだ。

新年度事業計画は、輸送の安全対策、関係諸制度への対応、バス利用促進など12項目の諸施策を決めた。また今年度は兵庫県より新たに500万円の助成を受け、ウェブサイトの立ち上げ(モデルルートや沿線観光・情報、企画乗車券等の発信、乗車体験ルポの掲載等)、アンケートの実施など地域間交流の社会実験を実施する。

理事の変更は、社・局の人事異動に伴うもので、尼崎市交通局のバス事業廃止で退任、新理事には内藤直樹氏(神戸市交通局自動車部長)、井波洋氏(阪急バス(株)代表取締役社長)が選任された。

来賓の祝辞で金指和彦・近畿運輸局自動車交通部長は、(1)安全・安心の確保 (2)地域社会との連携 (3)観光促進 (4)ドライバー確保─の4点の当面課題について述べ「6月3日に貸切バスの安全・安心な運行実現の対策概要をまとめた。今年中に制度改正する。また地域と連携では、いま一度地域の移動手段について考え、さまざまな取り組みを考えていただきたい。プロの強みとバスの特性を生かした取り組みをもとめたい。政府はインバウンド目標を2020年4千万人、2030年6千万人としている。観光はリピーターがカギである。そしてアクセスでバスの出番がある。既存の路線を生かしつつ具体的な取り組みに期待したい」とした。その他、衣笠達也・兵庫県県土整備部県土企画局長、泉浅夫・兵庫県警交通部参事官から祝辞。

懇親会は、加藤友彦理事の開宴あいさつに続き、藤本実・兵庫陸運部長の乾杯発声で開宴した。