自動車ニュース
年頭所感─兵庫県トラック協会 会長 福永征秀
新年明けましておめでとうございます。

平成29年の新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

会員事業者の皆様はじめ関係各位におかれましては、お健やかに新年をお迎えになられたことと、心からお慶び申し上げます。

さて、昨年は、国内では、3月に北海道新幹線が開業し、8月にリオデジャネイロオリンピックで日本は過去最多のメダルを獲得し、10月に生理学・医学分野で日本人がノーベル賞を受賞するなど明るい話題もありましたが、4月に熊本大地震が発生し、甚大な被害を受けました。当協会も熊本地震緊急物資輸送対策本部を設置し緊急物資輸送を行うとともに、義援金の募集を行い、多くの会員の皆様の善意を被災地にお届けいたしました。さらに、10月には鳥取県中部地震が発生し、緊急物資輸送を行ったところですが、災害発生時のトラック緊急輸送の役割を再認識し、災害対策を充実して可能な限り被災地にご協力をしてまいりたいと考えております。

一方、海外では、2月以降に、北朝鮮の核・ミサイル実験の繰り返し実施、国際的テロの多発、6月には英国が国民投票でEU離脱方針を示し、11月に米国大統領選挙でトランプ氏が選出されたことにより、我が国の国会で採決されたTPP(環太平洋経済連携協定)において米国の離脱も予想されるなど、今後の世界経済等に対し不安定な状況が生じています。

国内経済に目を転じると、昨年は景気回復基調にあるものの、輸送需要や消費ならびに企業投資の伸び悩み、さらに少子高齢化が加速する中で若年労働者の確保が困難になりつつある状況となっています。

私どもトラック運送業界におきましては、規制緩和による過当競争に起因する運賃・料金の下落など、経営環境が悪化する中で、「安全対策」や「環境対策」などに係るコスト負担の増加、ドライバー不足も深刻化しており、業界全体が深刻な経営状況に直面しています。このため、数年前から、業界を挙げて、契約の書面化、原価管理に基づく適正運賃の収受に取り組んでいますが、充分に効果が上がっているとはいえない状況であり、さらに強く推進していく必要があります。また、ドライバー不足対策の1つとして準中型免許が本年3月に導入されますが、このような制度を十分活用のうえ、若手ドライバー獲得に向けた取り組みも進めていかなければなりません。

そのような中、一昨年の国会で労働基準法改正案が提出されたのを契機に、国土交通省、厚生労働省、荷主・運送事業者等を構成員とする「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」が中央と各都道府県に設置され、4年間をかけて取引環境の整備、ドライバーの長時間労働削減への検討、パイロット事業(実証実験)を実施したうえで手待ち時間の削減方法や附帯業務の有料化方策等の一定の指針が示されることとなっているところですが、昨年から全国でパイロット事業を実施しております。

また、政治的に働きかけていくことも重要であり、昨年も、高速道路料金の大口・多頻度割引50%の恒久化や環境・省エネ・交通安全のための諸対策に係る補助制度の充実などトラック運送業界が直面する諸課題について、国会議員等に要望を行い一定の成果を得ることができましたが、今後も政治に対して必要施策を強く要請していく必要があります。

運輸事業振興助成交付金の全額交付についても、兵庫県に対し引き続き強く要請していかなければなりません。

このような厳しい中においても、私どもは、我が国の産業活動や国民のくらしを支える基幹産業であることを改めて自覚し、社会と共生し、その役割を果たしていくことが最重点課題であり、当協会としても荷主や消費者から信頼される業界づくりのため、適正な運行管理、労務管理の取り組み強化、貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)の推進などの『適正化事業の推進』、「トラック事業における総合安全プラン2009」に基づく諸対策の推進、交通安全思想の啓発やドライブレコーダ等の関連機器導入促進などの『安全対策』、地球環境への負荷の削減を図るため低公害車両の導入支援やエコドライブの普及促進などの『環境対策』にさらに取り組んでまいります。

また、災害時における対策の充実や中小企業近代化対策も積極的に進めていく必要もあります。

当協会では、今年も、会員の皆様と共に、トラック運送業界が抱える多くの課題に着実に取り組み、将来にわたる運送業界の発展のため、一つずつ確実に解決し、社会から信頼される協会づくりに一層取り組んでまいりたいと存じます。
そのためには、私どもが英知を結集し、業界の抱える諸課題に取り組むことは勿論、政治的な働きかけも視野に据えて、課題の解決に向けた行動を起こしてまいりたいと考えています。

つきましては、会員の皆様をはじめ、関係各位の一層のご支援、ご指導とご理解を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆々様のご健康、ご多幸を心から祈念して、新年のご挨拶とさせていただきます。