自動車ニュース
公益社団法人 兵庫県バス協会 会長 長尾真
新年、明けましておめでとうございます。

皆様方におかれましては、平成29年の初春をお健やかにお迎えのこととお慶び申し上げます。

さて、昨年のわが国経済は、個人消費の減退が景気を下押しし、さらに秋以降は誰もが予想していなかったアメリカ大統領選挙結果を受け、不安定かつ不透明な状況で推移しました。

本年は景気回復を期待するところではありますが、原油価格や為替の先行きも予断を許さない状況であり、引き続き不透明であると言わざるを得ません。

そんな折、年末に飛び込んできた日本バス協会会長の上杉氏の訃報には、驚きと悲しみと心細さを禁じえません。

ただ、上杉会長のご功績とご遺志は、しっかりと受け継いで参りたいと思っております。

上杉会長のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

その上杉日本バス協会会長が取組まれていた最大の案件が、貸切バスの総合的な安全対策です。軽井沢スキーバス事故から約1年が経過し、会長のご尽力もあり、貸切バスの安全対策について、許可の更新制、行政処分の強化など道路運送法の一部改正案が成立、施行されました。順法意識の低い不適格事業者の退出を含めたバス業界の自浄作用を促す制度です。

その自浄のための民間指定機関の姿も徐々に固まりつつあります。

今更、現在のような貸切バス業界になってしまったことを悔やんでも仕方の無いこと、しっかりと現状を認識し、失った信頼を一刻も早く取り戻すために、この民間指定機関に期待したいと思います。

また貸切バス業界だけではなく、旅行業界のご協力をお願いするところです。更には積み残しになっているランドオペレーターについての制度構築も急がれるところです。

次に、バス事業にとって重要なテーマは地域との共生であると考えています。
地域公共交通活性化再生法には、関係者それぞれが役割と責務を担うことが求められていますが、我々バス事業者は自治体としっかりタッグを組み、地域特性に合った公共交通ネットワークの構築に取り組んでいかなければなりません。

そして街づくり・地域づくりの視点に立ち、交流人口増施策、魅力ある観光地作り、産業振興としての特産物のPRや拡販など、包括的に取組んでいくことが重要でしょう。

策定された地域公共交通網形成計画について、PDCAサイクルを回し、変化する地域の需要と自動運転に象徴されるIoT、Ai技術を的確に捉え、改善を繰り返していくことが、バス事業再生につながるものと確信しています。

自動運転については、数年の内に様々な形で実用化されるものと思われます。
技術の進展を把握し、乗り遅れることの無いよう取組んで行きたいと考えています。

バス業界だけではなく、乗務員不足の問題は深刻化しています。

地域創生、地域の福祉政策のベースには公共交通は不可欠です。そしてそのベースは今、乗務員不足で風前の灯となりつつあります。乗務員が確保できないために休廃止されるバス路線も出てきています。自動運転になったとしても無人化されることは考えられません。

今、業界が本気で乗務員の待遇・処遇面を考えなければ手遅れになります。

また女性運転士、高卒者、学卒者を受け入れる職場環境作りが欠かせないと思われます。

昨年の秋以降、大手のバス会社においても、飲酒チェックのすり抜け、運転中のスマホ操作、薬物使用などの不祥事が連続して発生しました。

安全意識が欠落した行為は極めて残念に思います。経営者から現場まで安全意識の高揚を図るため、今まで以上の緊張感、危機感をもって運行管理に取組んで頂きますようお願いします。

バス事業者として、何をおいても安全最優先の姿勢が推進されなければなりません。

「安心が全てに優先する」というスローガンをぶれずに推進していかれることを切にお願いします。

兵庫県バス協会としましても、まずは安全問題に取組み、協会加盟事業者が安全・安心であるとの評価をいただけるように努力して参ります。

そして利用者への利便性向上策や事業者への経済的施策などの課題に対しても、日々取り組んで参ります。

今後とも皆様のご理解とご支援をお願い申し上げます。

今年一年も何卒宜しくお願い申し上げます。