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ライドシェアが一番の業界の課題─近畿ハイタク協総会
近畿ハイヤータクシー協議会(三野文男会長)は6月2日、シェトラン都ホテル大阪において通常総会を開催し、平成28年度事業報告及び収支決算報告、平成29年度事業計画案及び収支予算案を、原案どおり承認した。その他にライドシェア、運賃改訂、関西圏の高速道路の料金改定について言及があった。

三野会長は冒頭「この1年間を振り返ると、ライドシェアが業界の一番大きな課題であった。また、京都では運賃改定に取り組んでいる。大阪では5月31日に運賃について会員の皆さんから意見を問う会議を行った。労働人口が減少する中で、従業員の労働条件をいかに確保するかが最大の使命。各県においても、時宜を失せずに運賃問題について研鑽、準備に取り掛かっていただきたい。一方、(近畿圏の高速道路料金の改定に伴い)実車中のタクシーの高速道路通行料を無料にするというNEXCOの回答があった。実車中と空車中の区別をどのようにするのか運転手に徹底しなければいけない。今なお取り扱いについて問い合わせが多く寄せられている」と挨拶。

また、来賓として出席した神谷俊広・全国ハイヤー・タクシー連合会理事長は「規制改革推進会議の答申の中で、自家用自動車による運送が大きな項目として取り上げられた。ライドシェアという言葉はないが、成り行きを注視していかなければいけない。また未来投資会議の『未来投資戦略2017』の中で、具体的施策としてシェアリングエコノミーが取り上げられた。どこにもライドシェアとは書いていないが、新経済連盟がシェアリングエコノミーとして提案した民泊とライドシェアの2つのうち、民泊に決着がついた今、残るはライドシェアのみ。シェアリングエコノミーの裏側にライドシェアという文字が見えてしょうがない。東京オリンピックを目指してUBERをと言う方が多いので、ここが勝負だと思っている」とライドシェアに対する懸念を示した。

最後に大辻統・近畿運輸局自動車交通部長は「地域や利用者ニーズに柔軟かつきめ細かく対応できるタクシーへの社会的期待は一層高まっている。活性化の取り組みについて3点申し上げたい。1点目は地方自治体との連携強化、2点目は訪日外国人旅行者などの受け入れ環境の整備。3点目はタクシーサービスの質の向上。また、6月3日に新たな料金体系に移行したNEXCO西日本が管理する高速道路について、ETCのシステムの改修が完了するまでの間、実車中のタクシーは料金をとらない旨が示された。これにより高速道路の料金の複雑な計算や精算手続きを乗務員が行わずに済むこととなった。今後、乗務員の誤った対応によって高速料金の不適切な収受事案が発生する危惧もある。この場を借りて各事業者に対して周知徹底をお願いしたい」と祝辞を述べた。